熊本県議会 > 2022-03-07 >
03月07日-06号

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  1. 熊本県議会 2022-03-07
    03月07日-06号


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    最終取得日: 2023-05-26
    令和4年 2月 定例会               第 6 号              (3月7日)  令和4年   熊本県議会2月定例会会議録     第6号令和4年3月7日(月曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第6号  令和4年3月7日(月曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   白 石 伸 一 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     健康福祉部長 早 田 章 子 さん     環境生活部長 藤 本   聡 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 寺 野 愼 吾 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   村 上 義 幸 君     会計管理者  手 島 和 生 君     企業局長   國 武 愼一郎 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            青 木 政 俊 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            横 尾 徹 也     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     審議員兼            富 田 博 英     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(小早川宗弘君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(小早川宗弘君) 日程に従いまして、日程第1、4日に引き続き一般質問を行います。 西山宗孝君。  〔西山宗孝君登壇〕(拍手) ◆(西山宗孝君) おはようございます。自由民主党・宇土市選出の西山宗孝でございます。議員になりまして通算7回目の質問の機会をいただきました。相変わらず、ここに立ちますと緊張いたしておりますが、一生懸命質問してまいりますので、よろしくお願いします。 さて、日々緊張を増すロシアによるウクライナ侵略については、本議会において、これに強く抗議する決議が全会一致で採択されました。県民の皆様とともに早期の終息を願うところです。 また、本県においては、新型ウイルス対応まん延防止等重点措置期間が延長となりました。関係者の皆様の懸命な努力と御理解に感謝しますとともに、一日も早い日常、全ての社会活動を取り戻すために、県議会におきましても、皆さんと一緒になってその役割を果たしてまいりたいと思います。 また、熊本県産アサリの産地偽装問題については、本議会でも解決に向け積極的な取組がなされているところですが、特に産地の宇土市に生まれ育った私には、磯の香り漂う濃厚な味わいの県産アサリが外国産と大きな違いがあることを、この機会にぜひとも市場にしっかりと周知する機会であるかと思っております。 こういったいろんな背景を基に、本日は、県が進める施策を地域発展へとつなぐために、政務活動において取り上げた課題を中心に、限られた時間ではありますが、質問をさせていただきます。 執行部におかれましては、しっかりと御答弁をいただきますようにお願い申し上げます。 まず最初に、新広域道路交通計画の実現効果を最大化するためのアクセス道路等の強化についてお尋ねをします。 県と熊本市では、今後20年から30年間の広域的な道路整備の基本的な方向性を示す新広域道路交通計画を昨年6月に策定されました。その計画は、熊本都市圏と九州各県や県内主要都市をつなぐ高規格道路が位置づけられていますが、その中で私が最も期待していますのが、有明海沿岸道路熊本天草幹線道路の早期実現であります。 ここで、前面のスクリーンを御覧いただきたいと思います。(資料を示す)昨年6月に策定されました新広域道路交通計画広域道路ネットワーク計画図でありますが、有明海沿岸道路熊本天草幹線道路の2路線について、丸印や点線で記載してありますが、事業中や調査中の区間の全線整備が実現することによって、佐賀県鹿島市から佐賀市や大牟田市、荒尾市、玉名市、熊本市、宇土市などを経て天草市に至る有明海沿い一大交流圏が創出されることになります。 さらに、熊本天草幹線道路熊本西環状道路など熊本都市圏の高規格道路と結ばれることで、熊本の拠点性は一段と向上し、中九州横断道路の計画によって、半導体関連企業等の集積が進む都市圏北部地域同様に、都市圏南西部地域においても新たな企業の進出など、地域の発展に大きな期待が持たれています。 有明海沿岸道路については、これまで度々沿線の議員の皆さんから取り上げられ、早期整備に向けた期待の高さがうかがえるところです。 去る1月22日には、三池港インターチェンジ連絡路の工事着工式が挙行され、いよいよ県内においても事業が大きく前進する、このことについて大きな期待が寄せられています。 また、熊本天草幹線道路についても、同様に本会議で度々取り上げられてきましたが、天草地域においては、90分構想の実現による熊本都市圏との連携強化など、地域の活性化が期待されており、早期の全線完成が熱望されています。 また、宇土市においては、市政運営の最上位計画であります「第6次宇土市総合計画 輝くふるさと 宇土の未来図」において、市民の暮らしや産業活動の利便性を高める道路、交通網を確保するため、熊本天草幹線道路の整備促進に取り組まれています。 特に、宇土市をはじめとする宇土半島の有明海沿岸地域においては、国道57号が唯一の幹線道路として、地域の産業や経済活動とともに、住民の日常生活を支えていますが、沿線には、世界文化遺産宇城市三角西港をはじめ、御輿来海岸、長部田海床路宇土マリーナなど観光拠点を有し、交通量も多く、特に土日、祝祭日や夏のレジャーシーズンには慢性的な渋滞が発生し、沿線住民の日常生活に支障が及ぶ状況であります。 また、海岸沿いは、豪雨時の河川の氾濫や道路の冠水あるいは台風時の越波による道路冠水など、度々交通規制が行われる状態にあり、地域高規格道路の早期整備が望まれています。 熊本天草幹線道路におきましては、これまで三角大矢野道路など約17キロが開通し、現在、国において、熊本宇土道路、宇土道路とともに、今年度から宇土三角道路が、また、県においても、大矢野道路と来年度の開通を目指す本渡道路の合計5区間、約29キロメートルにおいて鋭意整備が進められているところであります。 特に、宇土道路においては、令和3年度当初予算として、昨年度の約2倍に当たる22億円が計上され、年末に成立した国の補正予算においても9億6,000万円が確保されたと聞いています。今年1月にはトンネルの工事に本格的に着手されるなど、整備は大きく前進しております。 さらに、今年度新規に事業化された宇土三角道路では、本格的な測量の着手に向け、去る2月12日に、宇城市の三角防災拠点センターにおいて、蒲島知事をはじめ、金子総務大臣国土交通省村山道路局長も出席され、中心杭打ち式が開催されたところであり、住民の期待はますます高まっています。県議会からも、小早川議長ほか、地元県議として、関係住民の皆様とともに出席させていただきました。 有明海沿岸道路熊本天草幹線道路の整備は、地域の浮揚につながる重要な事業となります。冒頭の新広域道路交通計画に位置づけた高規格道路の整備を進めることと併せて、地域の発展に欠かせないもう一つ重要なことがあります。それは、調査や整備が進む高規格道路の整備効果を最大限発揮するためのアクセス道路の強化です。 先ほど来述べてきました熊本天草幹線道路には、宇土市の国道57号に直結する城塚インター網田インターがトンネルの工事と並行して進められているところでありますが、これらインターチェンジと地域の国道や県道あるいは九州縦貫道路をつなぐことで、各地域で進められている地域活性化の取組を後押しし、県が進める地方創生の真の実現につながるものと考えています。 しかし、新広域道路交通計画は、高規格道路等の広域的な道路整備の計画であるため、インターチェンジアクセス等の強化の方向性については示されておりません。 そこで、新広域道路交通計画の実現の効果を最大化するために、インターチェンジアクセスをはじめ、周辺道路の機能強化に関する県の考え方について、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) 新広域道路交通計画は、地域の社会経済の状況や見通しを踏まえ、中長期的な観点から、広域的な道路交通の今後の方向性を定めたものです。 この計画の実現により、平常時、災害時を問わず、安定的に人や物の流れを確保し、活力ある地域経済を支えるとともに、災害に強く、安全、安心な熊本の創造につながるものと考えております。 その効果をさらに高めていくためには、一般道から高規格道路インターチェンジへの円滑な交通の確保が重要であると認識しております。 熊本天草幹線道路につきましては、宇土市区間のインターチェンジは、国道57号に直結する計画となっております。宇城市区間インターチェンジは、国道266号とは距離があるため、アクセス道路が必要となります。 そのため、今後、インターチェンジの具体的な計画が明らかになり次第、国道266号との接続について、国と連携して検討を進めてまいります。 県としましては、引き続き、熊本天草幹線道路等の高規格道路の整備を促進するとともに、その効果を最大化するために必要となるアクセス道路等の整備につきまして、しっかりと取り組んでまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 計画の実現効果をさらに高めていくためには、高規格道路のインターチェンジへの円滑な交通の確保に向けて、アクセス道路等の整備にしっかりと取り組む必要があるという御認識をいただきましたが、高規格道路の事業については、相当の期間を要すると思います。それに向けて、県として、アクセス道路インターチェンジから地域へ、あるいは先ほど御提案いたしました縦貫道路とこの宇土道路をつなぐといった、こういったことも県のほうで検討を進めながら、この全体の広域の道路が完成するに向けて、地域の真の発展へと結びつけることが必要であると考えておるところであります。 そのことによって、例えば、九州縦貫道路と宇土道路がつながるということになりますと、この宇土道路から経由して有明海沿岸の高規格道路あるいは天草へつながる道路ということで、非常に都市圏の西南部における補完的なアクセスとして強化される、これが地域の発展につながっていくことは間違いないと思います。 新広域交通計画はまだ策定されたばかりでありますが、次に、今後策定あるいは検討の時期が来た場合に備えて、ぜひとも、このことも含めて、県のほうでしっかりと検討していただきたいというふうに思っております。 また、宇土半島を貫き、国道57号と国道266号を結ぶ道路として、主要道路宇土不知火線あるいは県道郡浦網田線の2路線が今通っておりますが、これも、宇土半島を横断するそれぞれの道路ネットワークを強化する意味では、本当にこの高規格道路の事業効果を十分に反映できる地域の道路であると思います。そのことも含めて、しっかりとした検討を重ねていただいて、道路の計画あるいは改良、整備を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 続いて、県内鉄道赤字路線の課題と利用促進についてお尋ねをいたします。 昨年12月、JR九州は、少子高齢化の進行や人口減少など、鉄道を取り巻く環境が非常に厳しい状況にあることから、業務運営の効率化に向けた取組を進めながら、長期的な交通ネットワークの維持を図るとして、駅体制の見直しについて発表されました。 具体的な内容としましては、今週末の3月12日から、新たに29駅が終日係員不在となり、県内では、鹿児島本線の崇城大学前駅や豊肥本線の東海学園前駅など4駅が終日無人化になるというものです。 また、切符の窓口販売が廃止される駅が48駅あり、県内では、鹿児島本線松橋駅や豊肥本線の南熊本駅など8駅が該当しています。JRとしては、安全性や利便性の充実に取り組むこととしていますが、これらの駅の関係者においては、もう既にその対策の取組が始まっているところでもあります。 JRは、令和2年から、1日の利用客が2,000人未満である在来線の線区別収支を初めて公表し、昨年8月にも、令和2年度の状況を公表しております。 そこでは、災害等により不通となっている路線を除く14路線、19区間全てが赤字となっていますが、私の地元であります宇土市を走る三角線を例に挙げますと、2億8,400万円の赤字、そして1日の利用客は775人と、JRとして発足した1987年当時の2,415人から約68%が減少しているという状況が明らかになりました。 この30年以上前の比較には一体どんな根拠があるのか明確には分かりませんが、それでも肥薩線などと比較するときは、三角線はまだまだだよというお話も伺っております。 JRの動きを受けて、沿線住民は、三角線の将来は大丈夫なのか、三角線は廃止されることはないのかと大変心配されています。地元路線の廃止は地域の衰退に直結するため、沿線住民からも不安の声が聞こえてまいります。 現在、県においては、空港アクセス鉄道の整備について調査検討を行っていますが、今後検討が進み、鉄道が建設され、空港へのアクセスが改善されることによって、県内の鉄道ネットワークは厚みを増すことが期待されます。 三角線をはじめ、県内の在来線の利活用や駅を中心とした活性化にも大きな期待が持たれています。 そこで、利用が低迷し、収支が厳しいローカル路線について、県はどのように受け止められているのか、また、廃止論が具体化されるに至る前に、歴史的に沿線の発展に寄与してきた鉄道を改めて活用し、地域の発展への策を考えるその機会ではないかと思います。 例えば、熊本市から宇土、宇城間をつなぐ三角線においては、一昨年度に創業120年祭も実施されたところです。沿線の住民がJRの動きに一喜一憂している中、JR、沿線自治体、地域が一体となって、早期に利活用を真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。 県としても、積極的な関わりが必要であると思います。このことにつきまして、企画振興部長にお尋ねをします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) JR九州が公表した線区別収支において、県内では、三角線、豊肥本線の宮地から豊後竹田区間、肥薩線が厳しい状況であることが明らかになりました。 鉄道は、大量輸送性、定時性、速達性に優れており、地域の産業や人々の暮らしを支える重要な交通機関です。また、各路線を走る観光列車も地域活性化に重要な役割を果たしています。 そのため、県や関係市町村等が必要な支援を行いながら維持、確保を図っていく必要があると認識しています。 次に、鉄道の利活用の検討については、関係市町村の取組が必要不可欠です。 議員御紹介の三角線については、三角港と松島を結ぶ観光クルーズ船天草宝島ラインが「A列車で行こう」と観光誘客を目的とした接続運行を行っています。宇土市では、バスとの接続強化による利用促進や駅舎のコミュニティースペース化など有効活用に取り組まれています。 また、県では、沿線市町村鉄道事業者の利用促進に向けた協議への参画やJRと連携した観光誘客キャンペーンなどに取り組んできました。 しかしながら、人口減少や新型コロナウイルスによる影響を踏まえると、鉄道の維持に向けて、これまで以上の利用促進策に取り組んでいく必要があります。 そのため、県においても、今後一層積極的に関係市町村鉄道事業者と連携し協議を行うなど、地域の協働による利活用策等の検討について取り組んでまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 今宇土市に限って申しますと、三角線の網田駅というところで、非常に駅を拠点としたレトロ館であるとか、一生懸命地域がJRを活用したことによって発展したということを基にして、一生懸命取り組んでいる団体もございます。もう既に、4月から来年の3月、1年かけて三角線に乗ろうというテーマで、地元の親子で、あるいは地域の方々で1年間、三角線の利活用を進めようではないかという非常に取組については分かりやすい、ただ単に、観光キャンペーンとか、一過性のものではなくて、1年間通して利用しようではないかという動きも伺っております。 実は、三角から熊本まで非常に短い時間、距離で行くわけでありますが、例えば宇土から熊本駅までは13分程度しかかからない、それから30~40分で三角駅に行くような、都市部に近い沿線ではあるんですけれども、今熊本駅においては商業集積が非常に高まっておりまして、非常にこの往来も増える要素は十分あると思います。 また、一方で、先ほど空港アクセスについての延伸の話もありましたが、非常に地域の方々は、まだ具体的な意味合いはついておりませんけれども、こういったことがつながってきますと、この近い距離の沿線からも、鉄道を通じて、鉄道を利用して飛行場に行けるという、そういったことも具体的になってくると思います。 それについては、駅近くに拠点、三角駅、網田駅、宇土駅等々の拠点駅があるわけでありますが、そういったところにパーク・アンド・ライド、車を置いて目的地に向かうと、そういったことも、地域、地区の開発にもつながってきます。 そういったことを踏まえて、なかなか熊本市、あるいは宇土市、宇城市のこの3つの市だけで連携、話をしようとしても難しいこともあります。ぜひとも県がリーダーシップをとっていただいて、これからの地域の発展のために、これがあるんだ、こういったことを進めていこうということで、キャンペーンのほかに、こういった施策もしっかりと検討して進めていただきたいというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。 次の質問に移ります。 有明海における漁港の土砂処分対策についてであります。 有明海、八代海の再生については、多岐にわたる課題を抱える中で、海域環境の改善や水産資源の回復等による漁業の振興については、これまで、有明海・八代海再生及びゼロカーボン社会推進特別委員会農林水産常任委員会等で、たくさんの議論がなされてまいりました。 また、県議会水産振興議員連盟においても、熊本県漁業協同組合連合会の各部会が抱えている問題や諸課題の解決について、県農林水産部とともに連携して取り組んでまいりました。 さらに、国においては、自民党や関係省庁において、再生に向けた研究や対策等について議論がされており、昨年4月には、有明海、八代海再生特別措置法が改正され、令和13年度まで延長されたところです。 現在、県においては、アサリの産地偽装やハマグリ等の風評被害への対策について鋭意努力をされているところですが、このことにつきましては、本質問の最後にお願いすることとしておりますので、ここでは有明海における漁港の土砂処分対策に絞って質問をさせていただきます。 御承知のとおり、有明海沿岸の漁港は、土砂が堆積しやすく、漁船が入出港できる時間が限られていることから、ノリ養殖などの生産性が低下し、漁業者は非常に困っています。時間の制約なく漁業活動を行うためには、航路あるいは停泊地のしゅんせつを続けていく必要があります。 平成26年度以降、県や熊本市、玉名市が管理する漁港で発生した年間約8万立方メートルのしゅんせつ土砂は、熊本市河内にある県管理の塩屋漁港埋立地に搬出されてまいりました。 しかし、塩屋漁港埋立地も満杯になる時期が迫ってきたとして、市管理漁港分は令和2年度から受け入れてもらえず、運搬距離が遠い民間処分場に料金を払って搬出しており、各市の負担は増大しているところです。また、そこも満杯になる時期が迫っており、処分先の確保が大きな緊急課題になっています。 スクリーンを御覧いただきたいと思います。(資料を示す)これまで、県と熊本市、玉名市、宇土市が県漁連と連携して、土砂処分対策の検討を進められ、スクリーンに区域を示してありますように、宇土市の住吉漁港を新たな土砂受入れ地整備候補地として、来年度から環境調査着手に向けた予算を提案されております。 工事に早急に着手する必要がありますが、埋立て完了後の広大な土地の利用についてもしっかり考えていかなければなりません。 埋立て後の土地については、地元の宇土市のみならず、有明海全体の水産業、とりわけノリ養殖やアサリなどの採貝漁の振興や地域の発展につながるよう、水産業の研究施設などに有効に活用していくことが重要であり、漁港の管理者である宇土市だけではなく、県が主体性を持って計画、検討していく必要があると思います。 そこで、宇土市の理解の下、住吉漁港が土砂受入れ地整備候補地になった経緯と、県は土地利用の検討を含め今後どのように進めていくのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 有明海の干潟域に位置する漁港は、土砂が堆積しやすく、継続的にしゅんせつを行う必要があります。 現在、県管理漁港のしゅんせつ土砂塩屋漁港埋立地に、熊本市、玉名市及び宇土市が管理する漁港の土砂は八代海の民間処分場に搬出しております。しかし、いずれの搬出先も満杯になる時期が迫っており、県、市ともに土砂処分対策が喫緊の課題となっております。 そこで、しゅんせつ量を極力縮減する方策や土砂の有効活用策の検討を進めるとともに、県と市、漁港及び港湾管理者が連携し、土砂処分対策を検討してまいりました。 港湾事業との連携につきましては、長洲港周辺に漁港の土砂も搬入可能な受入れ地の整備に取り組んでおりますが、その完成までの間、漁港の土砂の受入先の確保が必要です。 その際、県、市それぞれの漁港管理者が、別々に受入先の検討と整備を行うと、相当な期間と一時的に多額の費用が必要となります。そこで、効率的、効果的に受入先の整備を行うため、これまでに例のない県と市による共同整備の検討を進めてまいりました。 まず、各市が地元漁協の意見を踏まえ、候補地を選定し、それらの候補地について、受入れ可能土量や整備費用、受入れ開始までの期間、整備後の土地利用の見込みなどについて、客観的に比較評価を行いました。 この結果、宇土市管理の住吉漁港が、土地利用見込みも含め、最も効果的な受入れ地であることを県と3市で確認し、住吉漁港での整備に合意いたしました。 そこで、来年度から整備に向けた環境調査に着手できるよう、必要な予算を今定例会に提案しております。 国の補助事業を活用し、県及び3市で受入れ地を整備するためには、漁港管理者の宇土市が具体的な計画を策定する必要があります。漁港事業では、整備後の土地を工業用地など漁業関係以外に活用することができないため、宇土市は、従来から地元漁業者も望んでいたノリ乾燥施設をはじめ、広く漁港、漁村の振興につながる漁業関連施設用地として活用することを基本に検討されております。 県といたしましては、今後、宇土市が漁業者や住民の意向を踏まえて策定する具体的な計画が実現できるよう、先進事例の紹介や活用できる補助事業の情報提供、水産振興に関する助言など、しっかりと支援してまいります。 これまで県が牽引してきたこの共同整備が着実に進むよう、引き続き、県がリーダーシップをとり、精いっぱい取り組んでまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) なかなかこの漁場の整備あるいは調整というのは、漁業権等々もあって非常に難しい課題ではあったと思いますが、何とか県の御努力あるいは漁連の御理解の下で計画が進んできた感もございます。 先ほど部長から、答弁の中に、地元で共同乾燥機とか、将来土地利用を行う上で、ノリの共同乾燥機等々の話もございましたが、広大な土地の中で、せっかく土地利用を考えるのであれば、少しぐらいの時間の中ではありますけれども、しっかり計画性といいますか、ただ地元だけの広大な土地で果たして今後その土地利用が進んでいくのかも心配されます。 また、一方で、宇土市においては、御存じのとおり、財政体力もそんな大きい都市でもございませんし、これまでこのような大きな事業も関わったことはない自治体でございます。その辺りも含めて、県と市、関係市の共同事業という言葉もありましたように、しっかりと県もその中において中心的な役割として、そういった広い視野に立って、土地利用のことも含めて検討していただきたいというふうに思います。 また、予算も国の補助事業をもちろん使うことになりますが、なかなか市の負担金等々についても、規模が大きいだけに厳しいものになると思いますが、可能な限りの予算支援、国の支援等々についても、しっかりと県が中心的に御支援を賜りますように要望申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。 次の質問、生活道路における交通安全対策についてであります。 熊本県内の交通事故発生状況を見ますと、令和3年中は、発生件数は3,188件と、前年比で僅かに増加しているものの、死者数は統計史上最少の39人、負傷者も51人減の3,936人と、17年連続で減少するなど、これまでの交通安全対策が功を奏していると感じております。 県警の努力にも敬意を表するところでありますが、ただ、この死者数の内訳を見てみますと、約4割の方が歩行中に事故に遭い、亡くなられており、歩行者を守るための対策が今後重要になってくると思います。 昨年6月には、千葉県八街市で、下校中の児童5名が死傷する事故も発生しましたし、また、10月には、本県でも、上天草市で児童1名が死亡するなど、歩行中の事故が全国的に発生しております。 スクリーンを御覧いただきたいと思います。(資料を示す)全国での横断歩道の磨耗状況を例示した写真でありますが、御覧のとおり、県内にもあちらこちらに白線が薄くなって見えづらくなって、歩道の存在に気づきにくくなっている状況も分かります。 通学路の交通安全対策につきましては、総点検を行った県においての報告が、さきの楠本議員の質問でも報告されました。横断歩道がやはり補修されるだけでも、道路を横断する際の安全性がかなり向上されると言われております。 歩行者が主に利用する道路は生活道路と呼ばれていますが、この生活道路における交通安全対策の一つがゾーン30という交通規制であり、現在、県警でのその取組が進められているところであります。 このゾーン30というのは、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保することを目的とし、交通規制で区域を定めて、時速30キロの速度規制を実施するもの、そのほかの安全対策を必要に応じて組み合わせて、区域内における車の速度や通り抜けを規制しようとするものであります。 このゾーン30は、県内各地で整備が行われており、私の地元である宇土市でも2か所ほどが整備され、この区域を利用する歩行者の安全確保が図られていると感じています。 さらに、昨年8月には、新たな施策として、ゾーン30プラスが警察庁と国土交通省から発表されました。これは、警察と道路管理者が連携して、ゾーン30の区域に通過車両の速度をさらに抑制する効果があるハンプなどの段差を設けることで、これまで以上に歩行者の安全、安心な通行空間を確保できる対策であると聞いています。 車両の速度を物理的に低下させることに加え、運転者に対して、その周辺においては、歩行者等の安全確保に一層の注意を払うべきであることを周知する効果も期待されています。 私は、警察と道路管理者が連携してゾーン30プラスの対策を行うことは、安全性の向上はもちろんのこと、この区域を利用する歩行者や運転手に対しても、道路の安全利用を意識づける絶好の手法であると思っております。特に、運転者への意識づけには大変効果があると思っています。この区域が県内にもっともっと増えていくことを期待しているところです。 そこでまず、生活道路対策でありますゾーン30への対策状況と、この新しい施策であるゾーン30プラスに対する取組状況について、県警本部長にお尋ねをいたします。  〔警察本部長山口寛峰君登壇〕 ◎警察本部長(山口寛峰君) 県警察では、生活道路対策、ゾーン30をこれまでに県内41区域で整備を行うとともに、街頭活動や交通指導取締りを併せて実施するなど、区域内の歩行者の安全確保に努めてまいりました。 新たに導入するゾーン30プラスは、道路管理者と連携して、道路の一部をなだらかに盛り上げることで車両の減速を促すハンプや横断歩道とハンプを組み合わせたスムーズ横断歩道といった物理的デバイスを区域内に整備し、その相乗効果により、車両の速度や通り抜けの抑制を図り、歩行者等のさらなる安全の確保を図ろうとする施策です。 昨年10月には、熊本河川国道事務所、熊本市と連携して、熊本市東区東町で、スムーズ横断歩道の仮設置による社会実験を約1か月行いました。現在、熊本河川国道事務所で効果検証中ですが、熊本市が付近住民に行ったアンケートでは、約9割の方がスムーズ横断歩道の設置に肯定的な意見であったと伺っています。 県警察としては、これまでに整備を行ったゾーン30の区域においては、道路管理者である自治体と連携し、住民の方々の理解を得た上で物理的デバイスの整備を目指すとともに、今後新たに区域を整備する場合にはゾーン30プラスを推進し、さらなる歩行者の安全、安心な通行空間の確保に努めてまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 生活道路の中で一番心配されるのは、ほぼ歩行者空間が少ない、白線もなかったりするような道路もあります。そういったところに、高齢者の方あるいは子供たちが歩いていく姿を時折見受けますが、非常に危険な状態であると。こういったところに県警が今進めているゾーン30については、非常にこのデザイン性も高く、目立っておって、非常に周りの景観ともなじんでいるところもありますから、交通安全対策の上では非常に大切な施策であると思います。 また、これに加えて、今回、プラス30につきましては、やはり物理的に運転手が感じる、あるいは歩行者が感じるような横断歩道の実証実験については、さらにこの交通安全対策についての認識も高めるものと思っておりますので、できるだけ県内の広いところで、こういった施策も進めていただきたいというふうに思っております。 続いて、道路関係の質問が続きますけれども、県管理道路の効率的な維持管理についてお尋ねをします。 私が日常的に利用しております道路は、人の移動や物資の輸送に不可欠な社会資本であり、県民の日々の暮らしや産業を支え、近年頻繁に発生している自然災害、住民の避難や、あるいは被災者の支援のために大変重要なものであります。 県では、全体延長約3,500キロメートルの国道、県道を管理しており、日常的に道路のパトロールや舗装が傷んだ箇所などの補修などを行い、道路機能を維持するとともに、私たちが安全、安心に利用ができるような確保をしていただいておるところであります。 穴が開いていたり、あるいは側溝が壊れていたり、あるいは雑草が茂っていたりなど、県民の方々からも要望や意見がたくさんあります。その都度迅速に対応していただいているところでありますが、管理する道路の延長も長く、自動車交通の多い中での作業でもあると思います。大変な仕事であり、関係者の皆様には、改めて感謝申し上げるところでありますが、私自身が日頃車を運転している際にも感じることがあります。それは、運転中に道路の不陸といいますか、がたつきがあったり、あるいは溝があったりする、あるいは白線が薄くなったりします。そういったところが最近特に見受けられるようになっています。地域の方々からも、こういった御意見もよく耳にします。 道路の維持補修の工事量については、ここ数年、舗装の打ち換えや補修を毎年50~60キロメートル、白線の引き直しを400~500キロメートル行っていると伺っております。 県においては、道路の監視業務を行う職員数が、高齢化等の影響もあって、この10年間で約4割が減少し、これを補うために、委託業者による道路パトロールを増やして対応されているところですが、人材の確保や財政面など数々の制約がある中で、県民の暮らしや産業を支える道路の機能を最大限発揮するためには、よりよい効果的な維持管理が必要ではないかと思います。 最近、国においては、将来の人手不足、インフラ老朽化の進行などの建設現場の課題や技術革新の進展などの社会経済情勢の変化を背景に、インフラ分野でのDXが進められているところでありますが、道路パトロールの業務についても、国交省や一部自治体においてデジタル技術の活用が検討されております。 そこで、県が管理する道路の効率化について、これから先、安全な道路を管理監督していくために、どういった維持管理をされていくのか、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) 県管理道路の効率的な維持管理についてお答えいたします。 道路は、交通機能のほか、まちづくりの基盤、防災や公共施設を収容する空間機能など、多様な役割を担っており、県民生活に欠くことができない公共施設です。 このため、県では、道路の機能を良好な状態に保つことを目的に、定期的な点検やパトロールなどの業務を行い、損傷が確認された舗装の修繕や改良などの維持管理を行っております。 道路パトロールは、パトロールカーで道路を巡回し、道路の損傷や変状、落下物などを発見し、応急対策などを講じることにより、道路交通の安全を確保するものです。 ただ、車上からの目視による確認作業であるため、小規模な舗装の損傷などが発見しづらいという課題もあります。 このため、パトロールカーにカメラを搭載し、AI技術を活用することにより、デジタル画像データから舗装の損傷などの調査精度を向上できるよう検討を行っており、来年度からの実施に必要な予算を今定例会に提案しております。 今後、実際の道路で実証実験を行い、実効性を確認した上で、早期の本格運用を図り、より効率的な道路パトロールを行ってまいります。 また、道路の中央や路側帯などの区画線である白線の磨耗につきましては、道路パトロールに加え、市町村からの報告、住民の方々からの要望を受けて対応しております。 報告を受けた箇所につきましては、現地を確認し、磨耗状況などを考慮した上で、優先度の高いところから順次補修を行ってまいりました。 しかし、近年、非常に要望が多いため、来年度は、県が管理する道路全体の白線の磨耗状況を一斉に調査し、計画的な補修ができるよう、現在その準備を進めているところです。 今後とも、道路を良好な状態に保つため、効率的、計画的な維持管理にしっかりと取り組んでまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) AIによるこの調査を新年度からということで、今議会に上程されているところでありますが、効率的なことというのは、何も人を減らすとかという目的ではなくて、より安全な道路を管理監督できる、あるいは計画的な補修事業ができるという視点に立って、それだけではなくて、それに人が張りついて、人として経験したことを加えて事業を進めていく、あるいは、一方では、機械化だけに頼ることなく、緊急の場合についてもやっぱり人が対応しなければならない。今回、この機器導入の検討に当たっては、将来、非常に計画的な事業の推進には役立つであろうと思いますが、引き続き、経験者、技術者の方々の、人々の配置についても十分検討されて進めていただければと思っております。 続いて、10年後を見据えた子供たちの英語教育についてお尋ねをします。 本県は、これまで、アジア諸国を中心に、世界の国々と友好関係を築いて、海外からの観光客や労働者も増加傾向にありました。コロナ感染症の拡大以降、非常に減少しておりましたが、その中でも、本県の外国人人口は、3年6月には1万7,000人を超えており、その国籍は様々であります。 今後、社会のグローバル化はさらに進み、外国人と協働して仕事を進める機会の増加が見込まれる時代になってまいりました。 これからの熊本、日本の将来を担う児童や子供たちが、10年後の国際社会で研究や仕事をしながら社会人として生活をする時代の到来は間近にあります。外国人やその家族との関わりが日常となる時代に、世界の共通語である英語の力は不可欠であり、英語教育は大変重要となります。 令和2年度から、小学校3年生あるいは4年生で外国語活動、5~6年生で教科としての外国語が実施されたところであり、その教育を受けた子供たちの今後の活躍が期待されるところでありますが、我が国の将来を担う若者たちには、あらゆる仕事、研究において、そのツールとしての英語力が欠かせない時代に向かっているのではないでしょうか。 現在、県でも、国の方針の下、その教育が実施されているところですが、学校現場におきましては、県の方針に基づいて一生懸命職務に当たっていることではありますが、やはり現場の中には、なかなか英語の先生あるいは担任の先生あるいは一般教科の先生等々の温度差を少し感じるところもあると伺っております。 今後の英語教育を行う上では、結果として、英語が嫌いにならない、好きになる、あるいは苦手意識を持たない、楽しい英語教育が必要であるという認識は、県教育委員会でもお持ちであろうと思います。 これから先、この教育を進める上では、やはり現場の管理者、校長先生をはじめ、管理体制の下に、なぜ英語教育が子供たちに今から必要であるのか、あるいは先生方の各専門科もあるとしても、同じく教職として、先生方のそれぞれの英語力、指導力も高めながら、子供たちが楽しく、嫌にならない、そういった環境の中でこの目的を果たしていかなければならないと思っているところです。 県教育委員会におかれましては、10年後を見据えて、今後、英語教育に対してどのような形で取り組まれるのか、お尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 現在の小中学生が大人になる10年後に向けて、郷土熊本に誇りを持ち、多様な文化を持つ人々と英語等で考えを伝え合うことができるグローバル人材の育成が必要であると考えております。 このようなことから、県教育委員会では、くまもと「夢への架け橋」教育プランにおいて「英語教育日本一」を掲げ、令和5年度までに、小学6年生の英語が好きな児童の割合を75%、中学3年生の英検3級等の取得率を40%とすることなどを目指しております。 このため、昨年度は、英語教育推進室を新設し、教員の指導力向上に重点を置いた取組を進めており、さらに今年度からは、全ての教育事務所に英語教育担当の指導主事を配置し、教員一人一人の課題に応じた授業改善に向け、延べ120回小中学校へ直接訪問を行いました。 また、英検等の受験料の一部を補助する事業を行い、市町村教育委員会と連携して、子供たちが積極的に外部検定試験に挑戦できる環境を整備しております。 これらの取組により、小学6年生で英語が好きと回答した児童の割合については、ここ数年下降傾向だったものが、今年度は増加に転じ、65%となりました。また、中学3年生の英検3級等の取得率も、現在取りまとめ中ですが、5年前の13.1%から20ポイント近く向上する見込みであり、確実に成果が見られております。これは、市町村教育委員会の理解と学校現場の創意工夫による取組の結果でもあると捉えております。 県教育委員会としましては、来年度以降も、この成果を踏まえながら、これまでの取組をより一層推進していきます。また、新たに全ての英語教員の資質向上を目指したオンライン研修やICTを活用した小中高の交流事業の実施などにも取り組んでまいります。 先般、グローバル企業であるTSMCが本県に進出することが決まり、子供たちにとって、英語を学び、使う環境がより身近で現実的なものとなりました。 このことを絶好の機会と捉え、今後も、市町村教育委員会と連携しながら、英語教育日本一に向け、しっかりと取組を進めてまいります。  〔西山宗孝君登壇〕 ◆(西山宗孝君) 習熟度の調査など、検定試験等々のデータも今お伺いしました。着実に伸びているという印象もいただきましたが、これもやっぱり大事だと思います。また、個人差もあろうかと思います。英語塾に行ったりして、どんどんどんどん専門的に学ぶ子供もいらっしゃると思います。義務教育課程の中でそういった方々もいるし、また、そうじゃない子供たちもたくさんいますが、やはり先ほど申し上げましたように、好きになる、嫌いにならない、楽しい、コミュニケーションの知識をつけた子供たちが一番であろうかと思います。 どうか、これまでの御努力の上に立って、改めて学校現場におかれましては、そういった、なぜこれから英語が必要であるのか、将来の社会のことについてもしっかりと含めて、教育の中で反映していただきたいというふうに思います。期待いたします。よろしくお願いします。 最後になりますが、1つだけ要望事項をお願いしたいと思います。 このたびの熊本県産アサリ偽装については、知事の強いリーダーシップの下、根絶するために、不退転の決意で、議会、漁業関係団体、国を交えて共に取り組んでいるところであります。 また、風評被害等への対応も今議会で協議されていることとなっておりますが、地域でこれをなりわいとされている純粋な漁民のことを思うと、一日も早い正常に向けての努力が必要であると思っております。 その上で、多くの研究、実証によるアサリなどの復活を進めることで、本来の漁場を再開させることであります。 ここでは、アサリなどの採貝漁とイカ漁の再生について改めて要望をさせていただきます。 地元の宇土市には、住吉漁協、網田漁協とありますが、ノリの養殖のほかに、アサリの採貝漁やコウイカを対象としたイカ漁が盛んであります。アサリとコウイカは、ともに全国有数の産地であります。アサリとコウイカは、県が認定するくまもと四季のさかなの「春のさかな」として、熊本を代表する水産物として位置づけられております。 そのアサリ、コウイカは、ともに水揚げが激減しており、特にアサリは、令和2年水揚げが全くなく、漁業者は厳しい経営を強いられております。このことは十分御認識かと思います。 今年、アサリは、数年ぶりに採貝、出荷ができる見通しとなっておりますが、干潟に着底したアサリ稚貝は、出荷サイズまで干潟に残らないことが多く、現実として、生産はまだまだ不安定な状況にあります。また、コウイカについては、地元の漁業者は、自分たちの取組が継続しているから、今でも何とかコウイカが取れているがと言われております。生産性がなかなか上がらない状況です。このため、漁業経営は安定せず、漁業後継者の確保も非常に厳しい状況であります。 偽装問題の根絶の先には、本格的な県産アサリの復活が待たれるところです。県産アサリ再生については、これまでの研究成果を実らせるためにも、国、県の強力な支援が必要であります。あわせて、県特産のコウイカ漁が消えることのないような支援策も進めていただきたいと思います。 以上、要望としてお願いいたします。 以上で本日の質問を終わります。 県の施策について、やっぱり地方においてそれが浸透してきて初めて熊本の地域が元気になる、熊本全体が元気になるということを念頭に置きながら質問させていただきました。これからも、そういった視点で政務活動に専念してまいりたいと思います。 本日は、御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) この際、5分間休憩いたします。  午前11時休憩    ――――――○――――――  午前11時11分開議 ○議長(小早川宗弘君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 城戸淳君。  〔城戸淳君登壇〕(拍手) ◆(城戸淳君) 皆様、おはようございます。玉名市選出・無所属の城戸淳でございます。 昨年、玉名市では、衆議院選挙、そして市長選挙、さらには市議会議員選挙がございました。まさしく選挙の年でありました。選挙というものは、なかなか選挙が終わっても整理のつかない末端の方もいらっしゃいますが、我々政治家は、その地域がよくなるように活動することが最も重要だと思っております。 本年、2022年は、謙虚に、そして融和を思いながら県政に力を注いでまいりたいと思います。さらに、夏に行われます参議院選挙に向けて気力を蓄え、そして自民党員として、しっかりと応援をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 さて、一般質問、今回3回目になりました。今回は、6つの質問、そして1つの要望を用意させていただきました。 蒲島知事、そして執行部の皆様には、明快な答弁を期待いたしまして、通告に従いまして質問を進めていきます。 まずは最初に、熊本の強みを生かした5つの安全保障について質問をいたします。 1月17日から通常国会が開会しました。政府の方針が示され、与野党の国会議員が活発な論議を進めております。とりわけ、新型コロナウイルス感染症の第6波が猛威を振るう中、オミクロン株の急拡大に伴い、先週、本県は、まん延防止等重点措置を2週間延長することになりました。 その中で、感染症への対応もそうですが、国内のワクチン生産体制の強化や治療薬の開発を強化すべきとの声も上がりました。5歳から11歳のワクチンの認証が進み、様々な意見が上がってきています。熊本で開発が進む不活化ワクチンへの期待も大きいと感じます。 昨年12月の県の広報誌では、こうした熊本の強みを生かした5つの安全保障についてまとめられています。長期的な未来を見据えた方向性が示されていると感じました。 そこで質問をいたします。 知事は、どういう思いでこの5つの安全保障をまとめられたのか、この5つの安全保障にかける思いや意気込みについてお聞かせください。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕
    ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、県政運営に当たり、目標の政治を掲げており、蒲島県政の最大の目標は、県民総幸福量の最大化であります。常にこの目標と照らし合わせながら、私の任期中はもとより、50年後、100年後の熊本の発展につながるよう、県政を運営してまいりました。 熊本は今、熊本地震、令和2年7月豪雨災害、そして新型コロナウイルスという県政史上例を見ない3つの困難に直面しています。 また、全国に視野を広げると、長期化する新型コロナウイルスの感染拡大が、県民生活や日本経済に大きな打撃を与えています。この日本全体の危機的状況を打破するために、熊本に何ができるかを考えたとき、私は、新型コロナのワクチン製造拠点、それと半導体企業の集積が大きな強みであり、まずは、この2つの点で貢献できるのではないかと考えました。 また、これまでの経験から、熊本がさらに貢献できる強みとして、防災への対応力、食料生産、地球環境への先駆的取組の3つを思い浮かべました。この5つを生かして、熊本が日本の5つの安全保障に貢献するという目標を思い描いています。 まず1つ目は、感染症に対する安全保障です。 新型コロナウイルスを克服するためには、ワクチンが不可欠であります。県も出資するKMバイオロジクスが開発中の安全性の高い国産の不活化ワクチンが、全国、ひいては世界へ一日も早く届けられるよう、県としてもできる限りの支援を行ってまいります。 2つ目は、経済の安全保障です。 熊本は、空港周辺地域を中心に、半導体関連企業が多く集積しています。そのような中、昨年11月に発表されたTSMCの本県進出は、半導体の安定供給を目指す国家プロジェクトとして、日本中に大きなインパクトを与えました。このビッグチャンスを生かし、本県経済の発展はもとより、シリコンアイランド九州の復活に向けて、さらには日本の経済の安全保障の一翼を担うため、全力で取り組んでまいります。 3つ目は、災害に対する安全保障です。 熊本地震及び令和2年7月豪雨災害で得た経験やノウハウなどを国内外に発信することで、我が国全体の災害対応力の向上に貢献するとともに、九州の広域防災拠点としての機能をより強化してまいります。 4つ目は、食料の安全保障です。 現在、最重要課題として取り組むアサリの産地偽装の問題は、まさにこの食料の安全保障を脅かすものであります。県産アサリブランドの再生と熊本ブランドの信頼回復に向け、強い決意で取り組むとともに、食料供給県として、日本の食料の安全保障に貢献してまいります。 5つ目は、地球環境の安全保障です。 本県は、国に先んじて、2050年県内CO2排出実質ゼロを宣言しました。この目標の実現に向け、県民や事業者とともに、県も率先して取組を進め、地球環境の安全保障に貢献してまいります。 私は、大逆境に直面したときにこそ、リーダーは強いリーダーシップで、明確なビジョンを示すことが大事だと考えています。同時に、このトンネルを抜けた先にある明るい夢を描くことも重要です。私の信念である「逆境の中にこそ夢がある」が表すように、私のリーダーシップにおいても「夢」は鍵となるものであります。 繰り返しになりますが、蒲島県政の目標は、県民総幸福量の最大化です。5つの安全保障を確立することは、県民の経済的豊かさ、誇り、安全、安心、夢の全てを将来にわたり満たすことができると確信しています。 熊本のすばらしさ、可能性をより大きいものとし、世界の中で熊本の存在を輝かせるという夢に向かい、4期目の残り2年間、最大限挑戦を続けてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 知事より答弁をいただきました。 本当に5つの安全保障については、強い思いが伝わってきました。経済、感染症、災害、環境、食、いずれも地球規模の課題であり、熊本が国内外に貢献できる潜在力があると感じます。国や世界に任せるのではなく、県が積極的に国や世界の安全保障に貢献していくという強い思いを持って熊本県を牽引していただければうれしいと思います。 それでは、次に参ります。 次は、有明海沿岸道路の整備について質問をいたします。 1月22日、有明海沿岸道路三池港インターチェンジ連絡路の着工式が荒尾市で実施されました。福岡と熊本の国会議員や知事をはじめ、県議会議長、沿線自治体の首長など、多くの来賓を迎えて盛大に行われました。特に、福岡県大牟田市から出席をされた藤丸敏代議士が、熊本の西野太亮代議士への期待を込めながら、熊本まで含めた有明海沿岸道路を30年で完成させる決意を明らかにされました。実際に、佐賀―福岡間は、約6割が開通し、ここ5年間で、福岡は400億、佐賀は190億の予算が措置をされております。 一方、熊本側は、1998年に大牟田から熊本市まで約30キロが候補路線として指定されましたが、23年間未着工の状態が続いておりました。 そういう意味では、今年、本県において、いよいよ整備が始められたことは、とてもうれしく感じております。三池港インターチェンジから荒尾までの連絡路については、国の令和3年度当初予算が8億8,400万円で、熊本側4億4,000万円です。補正予算においては4億2,000万円で、熊本側2億1,000万円が措置をされています。今回の三池港インターチェンジの連絡路の着工により、令和4年度当初予算はさらに増額され、用地の買収や工事が加速されていくものと思われます。 この有明海沿岸道路は、有明海の沿岸を地域高規格道路で結ぶという壮大な計画です。福岡、佐賀、熊本を結ぶ有明海沿岸道路が完成すれば、熊本の発展に大きく寄与することが期待されます。 例えば、熊本で取れたメロンやイチゴが、佐賀空港を経由して東京、大阪など大都市圏のみならず、北京、上海など海外の巨大市場にその日のうちに出荷することができるようになります。 また、有明海沿岸道路が完成すれば、物流の利便性が大幅に向上するため、企業立地が進むことも考えられます。実際、開通地域では、80社以上の新規立地が実現をしています。 さらに、福岡方面から通勤圏が拡大し、定住促進の効果が期待されるのみならず、一般道の交通が有明海沿岸道路に転換することにより、死傷事故や交通渋滞が減少する効果も期待できます。 加えて、福岡、佐賀、長崎方面からの観光客が増加する。こうした様々な効果が期待される有明海沿岸道路ですが、私は、荒尾から長洲までの区間を一日でも早く完成させ、長洲から玉名の事業化を早期に進めていただき、熊本までの全線開通を実現していただきたいと考えております。 そこで質問いたします。 三池港インターチェンジから荒尾までの連絡路の工事着工を踏まえて、県は、有明海沿岸道路の早期実現に向けてどのように取り組んでいくのか、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) 有明海沿岸道路は、佐賀、福岡、熊本の3県にまたがる広域的な経済交流圏を創出するとともに、荒尾・玉名地域はもとより、県全体の発展のために早期整備が必要であると認識しております。 大牟田市から熊本市の全体約30キロメートルのうち、県境から長洲町間の約9キロメートルにつきまして、国による事業化の前提となる計画段階評価が完了し、平成27年に都市計画決定を行っております。 そのうち、三池港インターチェンジ連絡路においては、去る1月22日に着工式が開催され、国による本格的な工事が開始されました。県内で初めて有明海沿岸道路の工事が着工されたことは大きな一歩と捉えており、今後の国による全線の早期整備につながるものと期待しております。 県としましては、県議会、県選出国会議員のお力添えをいただきながら、引き続き、沿線自治体や期成会とともに、三池港インターチェンジ連絡路の早期整備と荒尾市から長洲町までの早期事業化を国に求めてまいります。さらに、それらの取組を進めることで、有明海沿岸道路全線の早期整備につなげてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 土木部長より答弁をいただきました。 私は、この有明海沿岸道路は無限の可能性を秘めた夢の道路だと感じております。 先ほど御紹介しました三池港インターチェンジの連絡路の着工式では、両県の知事や議長、国会議員の皆様が、挨拶の中で、有明海沿岸道路の早期整備への思いを熱く語られました。私は、皆様のお話を伺い、熊本県のみならず、福岡の皆様も、この道路の早期実現に向けた期待の大きさを実感しました。 藤丸敏代議士や西野太亮代議士は、30年間で有明海沿岸道路を完成させるとおっしゃっています。熊本側の延長約30キロを30年で仕上げるためには、直ちに荒尾から長洲を事業化した上で、その区間に続く長洲から熊本まで事業化し、引き続き切れ目なく整備を行うことが必要です。 そのためには、国直轄事業として整備を進めることが不可欠です。私も、県議会の一員として、有明海沿岸道路全線の整備を国に訴えていく所存であります。ぜひ県としても、各自治体と連携を図り、国直轄による全線整備の実現に向けて、しっかりと取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。 それでは、次に移ります。 警察署、交番等の老朽化について質問をさせていただきます。 県民の安心、安全を守る上で欠かせないのが警察ですが、特に地域住民のよりどころとして機能してきたのが交番や駐在所だと思います。シンガポールやブラジルにも輸出された交番は、犯罪を減らす効果の高さが世界から注目をされています。 私の地元玉名市におきましても、少し前になりますが、2019年11月に、寺田駐在所の落成式に参加をいたしました。新しい駐在所を拝見し、感動をいたしました。住民にとっては分かりやすい場所に位置する交番の役割はとても大きいと言えます。 国内の治安情勢に目を向けると、刑法犯認知件数は、平成14年をピークに減少し、現在は戦後最少を毎年更新しています。 一方で、治安が悪くなったと感じている人の割合は増えているという調査結果もあるようです。その背景には、刑法犯認知件数ではかれない事象の増加が挙げられます。 具体的には、ストーカーやDV、児童虐待、高齢者を狙った特殊詐欺、高齢者の関わる交通事故、認知症高齢者の行方不明など、国民のほとんどが携帯電話を持つ時代になり、警察への110番通報も増えたと聞いております。もちろん、人口の変化や地域の情勢なども関係しているため、地域によっては警察力に偏りが生じることもあると思います。 いずれにしても、こうした状況を肌で感じている住民からは、交番にはいつも誰かいてほしいという声やパトロールを強化してほしいという要望があると思います。また、全国的傾向として、警察活動の拠点となる警察署や交番が老朽化している割合が高くなっているという指摘もあります。県内でも、耐用年数を経過した警察署や交番が一定数あると聞いております。 今後ますます交番の機能強化が求められる社会情勢の中で、より機能する警察施設を整備することは喫緊の課題だと考えます。 加えて、赴任先で警察官が入居する宿舎についても、老朽化が進んでいると聞きます。こうした住環境の整備により、警察官の働く環境を整えることは、警察官の採用にも影響があるのではないでしょうか。 近年、人口減少が進み、あらゆる業界で人員確保が困難な中、生活拠点となる宿舎の整備を通して、働きやすい環境にすることも必要なことだと思います。 そこで質問いたします。 県では、警察所や交番など警察施設の機能強化に向けてどういった取組を進めていくのか、今後耐用年数を超える警察施設が増加することに対してどのように対処していかれるのか、さらに警察宿舎の改修を通した警察官の働きやすい環境づくりに向けてどう取り組んでいくのか、警察本部長にお尋ねをいたします。  〔警察本部長山口寛峰君登壇〕 ◎警察本部長(山口寛峰君) まず、警察施設の機能強化に向けた取組についてお答えいたします。 警察署や交番等の警察施設は、安全、安心な県民生活の確保に向けた治安維持活動や防災活動の拠点であり、その機能強化は重要な課題であると認識しています。 このため、警察署の機能強化に向けた取組として、警察署を新築する際、犯罪被害者等の心身の負担軽減を目的としたサポートルームを設置しているほか、停電時でも給油なしで72時間以上稼働可能な非常用発電設備の導入等を順次進めているところです。 また、交番や駐在所については、令和元年12月に策定した熊本県警察交番・駐在所機能強化ビジョンに基づき、全県的な治安バランスや事案対処能力の向上、交番等の建て替え時期等を勘案しながら、交番の統合による大型交番化、駐在所の統合による複数勤務化、施設の増改築や長寿命化対策等により、機能強化を図っていくこととしています。 今後も、警察行政のニーズや社会情勢の変化を的確に見極めながら、引き続き、警察署や交番等の機能強化に取り組んでまいります。 次に、耐用年数を超える警察施設の増加への対処についてお答えします。 現在、県内には、警察署23署、交番、派出所63か所、駐在所114か所、宿舎169棟、合計369の警察施設があります。 議員御指摘のとおり、これらの警察施設は老朽化が進んでいるものも多く、現時点で、全施設のうち約30%が耐用年数を超えている状況です。 また、本県では、平成29年3月に策定された熊本県公共施設等総合計画により、施設の整備に当たっては、総量適正化、効率的活用、長寿命化の3つの基本方針を踏まえて、整備方法を適切に判断していくこととされています。 県警察としては、この計画の趣旨を踏まえつつ、県内の治安情勢や社会情勢の変化、県の財政状況等も考慮しながら、大規模改修、統廃合、建て替えといった対策の中から最適な手法を選定していくことで、耐用年数を超える施設の増加へ適切に対処してまいります。 最後に、警察宿舎の改修による警察官の働きやすい環境づくりについてお答えします。 警察宿舎については、県内169棟のうち50%以上が耐用年数を超過しており、特に老朽化が進んでいます。 県警察では、予算を効果的に活用して住環境整備を進めるため、近年では、民間施設の借り上げによる宿舎の確保や大規模改修による既存宿舎の長寿命化といった対策に取り組みながら、宿舎の整備に努めているところです。 今後も、宿舎の環境改善に向けた適切な対策を図り、警察官の働きやすい環境づくりに努めてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 警察本部長に答弁いただきました。 警察本部におかれましては、警察業務が複雑化する事情を十分に考慮されながら、警察の機能強化に取り組んでいただくと同時に、警察官の業務負担の適正化や警察施設及び宿舎の改修や建て替えなど最適な対策を進めていただき、安心して安全に暮らせる熊本を実現していただきたいと思います。 それでは、次に移ります。 子供医療費助成について質問をいたします。 子供を産み育てていく過程において、何よりも代え難い喜びがありますが、一方で、心配や不安、困り事などが生じることも少なくありません。その一つに、子供の病気やけが、また、診察や治療に伴う医療費負担の問題があります。一般的に、小さい子供ほど病気にかかりやすく、抵抗力も弱いものですから、病気の早期発見、早期治療のためにも、必要と思ったときにちゅうちょなく医療のお世話になることは大切なことです。 しかしながら、残念なことですが、医療費負担の問題により、早期受診をされることなどをためらわれる保護者がいることも事実です。私は、このような理由から、保護者が子供たちの医療費負担の心配をせずに病院に行けるよう、行政が必要に応じて医療費の助成をしていくことは大変意義があることであり、可能な限り積極的に推進していくべきことであると強く感じています。 このような中、子供医療費の助成については、国の制度としては実施されていないため、各都道府県や各市町村が、それぞれ任意に独自の施策として医療費助成を展開しているのが現状です。本県におきましては、県内市町村に対して、原則4歳児未満までの医療費について助成を行っているところです。 そこで、若い世代が定住先の自治体を決断する際に、どのような事柄に重きを置くのか考えてみました。以前、子供を持つ若い世代は、移住に当たっては、子育て環境の充実度を重視する傾向にあります。また、子育て環境の優劣をはかる指標は様々ですが、子供医療費の充実度は、その中核的なものの一つであると聞いたこともあります。 そこで、本県の医療費助成の状況を全国的に見ればどの程度のレベルであるのか、厚生労働省のホームページで確認したところ、令和2年4月1日現在の調査結果では、47都道府県全ての都道府県が医療費助成をしていましたが、通院に対しては、4歳未満の助成が最低レベルで本県を含む3自治体が、また、入院に対しては、4歳未満の助成の本県が最低レベル、つまり、本県は、子供医療費の充実度に関しては全国最下位、それもオンリーワンでの最下位ということを知りました。 あわせて、子供医療費助成制度については、県議会でも何人かの先生方が質問をされておりますが、しかしながら、当時の答弁内容から変わりなく、県内の市町村は、それぞれ独自財源により、4歳以上の医療費助成を拡充しています。そして、その状況は一律でなく、通院については12歳児までから18歳児まで、入院については15歳児から18歳児までがあるという状況です。これは、同じ県内において、住む市町村によって、高校生まで医療費が無料化されるところもあれば、そうでないところもあるということです。 そこで、高校生まで助成を実施していない、ある市に尋ねてみたところ、高校生までの医療費の無料化については、保護者や関係団体から要望等も強く、その必要性はしっかりと認知しているものの、それを打ち出すには財源に厳しいものがあり、仮に県から医療費助成が未就学児まで拡大をされれば、新たな施策を打ち出すことができるという意見を伺いました。 少子高齢化の進展や労働力人口の減少、社会保障負担の増加、核家族化の進展、子供の貧困など、子育て家庭を取り巻く環境の変化によって、子育てについて不安感や負担感がある中、そして現在の全国の都道府県の子供医療費制度の状況や、TSMCの本県への進出が決まり、全国から本県が注目されつつある今こそ、子育て世代の定住促進のための子供医療費拡充について、再度議論することは時宜を得ていると考えます。 そこで質問いたします。 本県は、子育て世代の定住促進と子供医療費助成制度との関係についてどう考えているのか、また、TSMCの進出を定住促進の機会と捉え、子供医療費の助成を拡充する考えはないのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) 子供の医療費助成については、子供の健康増進、子育て世帯の経済的負担の軽減、住民満足度の向上などを目的に、県の助成制度に上乗せする形で、県内の全ての市町村において実施されています。 このことは、本県が子育てしやすい環境であるというPRにつながり、ひいては定住促進にも効果を発揮しているものと考えています。 その上で、県の助成制度の在り方について、これまでも議論を重ねてまいりましたが、既に全ての市町村が上乗せ助成を行っている中で、仮に県が補助対象を拡大したとしても、市町村の財政負担の軽減にはなるものの、直接的な住民サービスの向上にはつながらないと考えております。 このため、県としては、限られた財源をより効果的な子育て支援策に活用するという考えの下、本県独自の様々な施策に取り組んでおります。 例えば、国の無償化に先行して開始した多子世帯への保育料の助成や、一般不妊治療や早産予防対策などの少子化対策に取り組む市町村を支援するため、自由度の高い総合交付金制度などを実施しています。 さらに、来年度からは、低所得世帯の放課後児童クラブの利用料に対する新たな助成制度を創設することとしています。また、新生児の先天性疾患を早期に発見し、治療につなげるため、公費負担の対象となっていない疾患の検査費用についても、都道府県としては全国で初めて助成対象とすることとしており、これらに必要な予算を今定例会に提案しています。 なお、子供医療費助成制度の水準は全国でばらつきがあることから、国に対して全国統一的な助成制度を新たに創設するよう要望を行っております。 引き続き、市町村と連携しながら、子育てしやすい熊本県を目指し、しっかりと取り組んでまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 健康福祉部長より答弁いただきました。 県が助成対象を拡大しても直接的に住民サービスの向上にはつながらないとの答弁をされましたが、私は、子供の医療費助成の上乗せを各市町村が実施している背景には、切実な住民の願いがあると思います。財政は、県より限られています。 ちなみに、東京都は、先週、中学生までの医療費を高校生まで拡大をしています。2023年度から3年間、財政を全額負担することを明らかにしました。 私は、この半導体産業の推進という機会を捉え、県民のニーズや市町村の声にしっかりと耳を傾けていくという姿勢を示すことが肝要だと思います。子供医療費の助成についても、総合的に検討していただきますようによろしくお願いをいたします。 それでは、次に移ります。 産後ドゥーラを活用した母子支援について質問をいたします。 この質問は、3月3日、公明党の代表質問で、本田先生が産後ケアについて質問をされました。私は、特に産後ドゥーラにスポットを当てて質問してみたいと思います。 昨年、個人的にうれしいこととして、孫が誕生しました。長女は里帰り出産をしたのですが、上の子の面倒を見ながら新生児を育てるというのは、母親にとって大きな負担があるように思います。コロナ禍の中で思うように里帰りができないケースが増えている中、逆に出産の際に実家から母親が娘の応援に駆けつけるというのも簡単ではなくなりました。産後間もない母親にとっては、体の回復に努めるべき期間に、赤ちゃんの世話に加えて、家事や上の子の育児などに追われ、十分に体が回復しないケースが出てきています。 加えて、コロナ禍のため、母親同士のコミュニティーで関係性を築く機会も減り、孤立化する母親が増えているとの報道もございます。実際に、精神的に不安定になった結果、子供を虐待してしまったり、最悪の場合、母親が自殺に追い込まれる事例もあります。 改正母子保健法では、産後ケア事業の実施を市町村の努力義務とすることにしております。対象も、出産後1年以内の母子と明記してあります。現在、全国6割の自治体が産後ケア事業に取り組んでいるようです。妊娠、そして出産後の母子をしっかりと支援するために、産後ケア事業が全ての自治体で実施されることを期待したいと思います。 その中で、私が注目しているのが、産後ドゥーラと呼ばれる民間の専門の方々です。 スクリーンを御覧ください。(資料を示す)これは産後ドゥーラの活動写真です。ドゥーラとは、もともとはギリシャ語で、女性に仕える女性という意味ですが、産後ドゥーラとは、出産後の母親を心身ともに支援する女性のことを指します。産前産後の女性特有のニーズに応え、心身の安定と産後の身体の回復、赤ちゃんの育児や新しい生活へのスムーズな導入を目的として、母親のためのサポートを行います。 妊娠中から産後は、母親の心身の生活が大きく変化する時期と言われております。睡眠不足や疲れ、自分自身や育児への不安、思うように家事のできない生活など、一人ではどうすることもできない状況になることもあります。 産後ドゥーラは、その時々の母親の気持ちに寄り添いながら、そのときの状況に合わせたサポートを行います。心身ともに敏感な状態にある母親の不安や悩みを受け止め、赤ちゃんや上の子の育児、調理や掃除など家事をお手伝いしながら母親をサポートします。父親や祖父母に対しても、沐浴指導や育児アドバイスなどのニーズに合わせて柔軟に行っているとのことです。 今日は、熊本に2人しかいないドゥーラの方が傍聴に来てくださっています。この産後ドゥーラを養成しているのが一般社団法人ドゥーラ協会です。代表の宗祥子さんは、東京で助産院の院長を務める方です。宗さんは、協会を創設した理由について、こう語っています。「多くの方々が夫の帰りは遅く、近隣に頼れる親族や友人がいない、もしいたとしてもそれぞれの生活の為に出産直後の母親をサポートしてあげられるゆとりがない。このことは地方に行っても程度の差は有れ、同様の状況があります。 助産師としてお産のお世話をした後のお母さん方の生活もサポートしたいという気持ちで一杯です。しかしお産を担当する助産師が家庭に行ってお世話をするゆとりはありません。産後の母親の気持ちに寄り添い、新生児のお世話ができて、母親が最も望むサポートが出来る人材を養成したい。そんな気持ちでドゥーラ協会を立ち上げ」たと言っておられます。 この協会のミッションは「母親も、すくすく育つ世の中に。」です。事業内容は、出産前後の女性を支援する産後ドゥーラ養成・認定事業、妊娠、出産、産後、子育てに関する知識、情報提供、ドゥーラの研究及びドゥーラ養成プログラムの開発事業です。現在、23の自治体が産後ケアサポート事業において、産後ドゥーラが支援を行っております。 私が感心したのは、産後ドゥーラ養成講座です。産後ケアの制度をつくってきた専門家の方々によって構成された75時間の実践的な講義を受け、出産前後の女性をサポートするための知識や技術を体系的に学んでいるのです。 課題は、認知度不足と利用料金だと考えます。どんなによい支援を受けられるとしても、知らなければ利用することができません。また、出産前後は、共働きの世帯の場合、女性が仕事を休むため、一時的に世帯の収入が減ります。その中で、週に1回の利用だとしても、1時間3,000円ほどかかるとなると、ハードルが高いと感じるのではないでしょうか。もし産後ケア事業として取り組んでいくことができれば、認知度も向上し、予算面でも行政が支援することで、利用者の負担を軽くすることができると考えます。 そこで質問をいたします。 本県において、全体の何割の自治体が産後ケア事業を実施しているのか、また、コロナ禍の中、孤立化しやすい出産前後の母親に対して、本県ではどのような支援を行っているのか、産後の母親をサポートする産後ドゥーラを県として活用する考えはないのか、健康福祉部長にお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長早田章子さん登壇〕 ◎健康福祉部長(早田章子さん) まず、産後ケア事業については、コロナ禍において、里帰り出産が困難になるなど、出産、育児に不安を抱える方が増加傾向にある中で、ニーズが高まっているものと認識しています。 現在、県内の約3割に当たる12の市町村が実施されており、引き続き、全ての市町村で実施していただくよう働きかけてまいります。 次に、議員御指摘の孤立化しやすい出産前後の母親の支援についてですが、今年度から、地域で子育て等の支援活動に自主的に取り組んでおられる方を「まちのよかボス」として任命し、子育てに関する情報発信や行政機関への橋渡しを行っていただくなど、地域ぐるみで子育て家庭等を支援する仕組みを構築しています。 この取組をより効果的に進めるため、地域における子育ての先輩方に子育て支援の担い手となっていただき、子育ての悩み事などの身近で寄り添った支援を行う取組や民間を含めた家事・育児サービスを掘り起こし、サービス情報や体験モニター報告をSNS等で発信する取組も新たに開始することとしており、そのために必要な予算を今定例会に提案しています。 次に、議員御紹介の産後ドゥーラについては、これまでの産後支援と異なり、出産前後の母親の刻々と変化する幅広いニーズに臨機応変に丸ごと対応できることが特徴だと思います。 これまで、その役割は主に家族等が担ってきましたが、核家族化の進行や共働き世帯の増加に伴い、家族の支援を受けることが困難な御家庭が増加しており、産後ドゥーラのような役割こそ、今後ますます求められるようになると考えています。 そのためにも、産後や子育てに関する様々なサービスを必要とする方々が、産後ドゥーラも含めて、希望するサービスを確実に利用できるよう、広く情報発信していくことが必要であり、新たに開始する事業において、その仕組みを構築したいと考えております。 新しい命をこの世に送り出す出産という大仕事を終えた母親は、大きな喜びに包まれる一方で、心身ともに大変なダメージを受けており、その回復のためには、安心して体調を整えることができる環境が不可欠です。 引き続き、県民の皆様をはじめ、民間企業や関係機関と連携、協力しながら、妊娠、出産を安心して迎え、子育てに喜びを感じることができる社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 健康福祉部長より答弁いただきました。 コロナ禍の中で妊娠や出産を安心して行える環境を整えることが、本県の女性活躍の推進と少子化対策として有効だと考えます。子供を産み育てる女性としての喜びを享受できるように、県としても支援の在り方を考えていただきたいと思います。そして、出産や育児で苦しむ母親が虐待に走ったり、自殺に追い込まれないよう、民間の力を活用しながら、県としても最大限の努力を傾けていただきたいと思います。 それでは、次の質問に参ります。 防災拠点の充実強化について質問いたします。 近年、自然災害は頻発化、激甚化しており、人命に関わるような豪雨災害が、いつ、どこで発生してもおかしくない状況です。また、南海トラフ地震といった広域的な大規模災害の発生の危険性も年々高まってきており、防災体制の一層の充実強化は喫緊の課題だと考えます。 私の地元玉名市は、1級河川菊池川の下流部の玉名平野に位置しています。菊池川流域は、西に有明海、東、北、南の3方を山で囲まれており、中央付近が盆地となっていることから、上流で降った雨が盆地に集まりやすい地形となっております。 そのため、これまで、平成24年7月九州北部豪雨や令和2年7月豪雨などの際には、菊池川流域において、家屋や田畑への浸水被害などが発生しました。 このような中、国においては、国管理河川について、流域自治体、企業等のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水を推進しています。令和2年7月豪雨により甚大な被害をもたらした球磨川の球磨川水系流域治水プロジェクトは、多くの県民が知るところです。 菊池川におきましても、流域全体で水害を軽減させる菊池川水系流域治水プロジェクトを令和3年3月に取りまとめています。この一環として、玉名市では、国土交通省菊池川河川事務所とともに菊池川氾濫による被害発生を想定し、高台避難所や防災倉庫、指定緊急避難場所となっている桃田運動公園や蛇ヶ谷公園などと同様、平時は、地域の交流、憩いの場として活用する公園機能を有した防災拠点となっています。こうしたふだんから地域住民に親しみを持って利用する施設を防災拠点とすることで、いざというときに円滑な避難や地域防災活動につながると思っております。 県では、災害時の逃げ遅れゼロに向け、マイタイムラインの普及や自主防災組織の活動支援など、地域防災力の向上に取り組まれていることは十分承知しておりますが、こうした防災拠点を増やしていくことも、地域の防災力を高める上で有効な手段と考えます。 さらに、これらの身近な地域の拠点を束ねる司令塔である市町村庁舎の充実強化も必要ではないでしょうか。 そこで質問いたします。 県内における防災拠点の充実強化に対する認識とその対応について、知事公室長にお尋ねをいたします。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) 激甚化する自然災害から、かけがえのない命を守るためには、平時から、住民の避難場所や消防、警察の現地活動拠点など、いわゆる防災拠点を身近に整備していくことが大変重要と考えています。 熊本地震の際には、多くの県民が、余震への不安から、車中泊や指定避難所以外の身近な公共施設などへ避難しました。この教訓から、県では、災害時に県民誰もが安心して避難できるよう、市町村に対し、熊本地震復興基金による避難所の環境整備への支援や、防災公園の整備に当たっては、構想段階から国の交付金事業の活用を念頭に置いた助言などを行ってまいりました。 これらの取組により、現在、公民館などの指定避難所は、県全体で熊本地震時の1.3倍となる約1,100か所に増加し、公園などの指定緊急避難場所は、1.5倍となる約1,700か所に増加しています。 この中では、南阿蘇村復興公園や菊陽町光の森防災広場をはじめ、地域住民の憩いの場に、かまどベンチやマンホールトイレを設置する新たな取組も広がっています。 こうした市町村との連携により、県民の身近なところにある防災拠点の充実強化は着実に進んできています。 一方、発災時に初動・応急対応や救助活動を担う自治体の庁舎についても、防災拠点としての機能の強化が大変重要と考えています。 このため、県では、これまで、自治体庁舎における防災機能整備に対する支援制度拡充について、国へ要望を続けてまいりました。その結果、昨年、緊急防災・減災事業債の対象として、新たに災害対策本部や応援職員の活動施設などが追加されました。 このことにより、新たな県の防災センターの整備においても、財政負担が大きく軽減されました。今後、市町村庁舎においても、この有利な財政支援制度の活用により、防災拠点機能の一層の充実強化につながることが期待されます。 引き続き、県民の安全、安心のため、市町村との連携により、防災拠点のさらなる拡充強化を図るとともに、身近な地域の拠点と市町村庁舎、そして県の新たな防災センターがしっかりと連携した、より強固な防災体制の構築に努めてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 知事公室長より答弁をいただきました。 私も、令和2年7月豪雨の際に被災地に入り、現地視察や復旧活動を行いましたが、現地の方の声を聞き、改めて自然の恐ろしさを感じさせられました。 実は、西野代議士の御尽力により、集中豪雨の原因と言われる線状降水帯を予測するために、国は大幅な予算をつけて研究を進めています。 県の防災センターの整備についても答弁がありましたが、引き続き、国と県と市町村が高い防災意識に立って連携し、住民の理解と協力を得ながら、災害への備えを進めていただきますようによろしくお願いをいたします。 最後に、最も重要な要望をさせていただきます。 県営スポーツ施設の整備についての要望をいたします。 県営スポーツ施設の整備については、毎回のように要望をさせていただいておりますが、県も、来年度予算として、スポーツ施設のあり方検討事業として2,000万円を計上しております。具体的に、スポーツ施設整備調査に1,800万円、フォーラム開催事業に200万円のイメージですが、スポーツ施設整備に係る課題や県に与える経済波及効果を精査するとともに、県民的論議を通じて県民のニーズを把握する必要があると、同事業の課題を整理しております。 玉名市では、昨年10月に市長選、市議選が実施され、2期目を迎えた藏原市政でも「笑顔をつくる10年ビジョン」の具体化に向けて、市民生活の安定、まちづくりの充実、行政の推進に取り組んでいます。 中でも、玉名市が国に要望して、国土交通省が元玉名地域に選定した菊池川防災グラウンドを令和6年度に整備する計画を明らかにしました。この菊池川防災グラウンドは、平常時にはサッカー、ラグビー場として活用し、災害時には防災拠点として利用するとのことです。こうした防災施設を整備することで県民の安心、安全を担保することは、行政の大切な役割だと思います。 私は、新玉名駅周辺整備を成功させる上で、公共施設を誘致することが必須だと考えています。地元の玉陵校区は、小学校と中学校が駅の周辺にあり、くまもと県北病院も整備され、住みやすい地域になることが予想をされております。 現在、ヴォルターズがB1の基準をクリアするために、新アリーナを整備する方針を打ち出し、候補地の選定や運営スタイルを検討していることを県も御存じだと思います。その候補地として玉名が上がっているのは、新玉名駅周辺は交通アクセスがよいからだと私は考えます。菊池川防災グラウンドは、サッカー、ラグビーの練習ができるようになるのであれば、試合ができる陸上競技場が整備されれば、相乗効果もあると考えます。特に、玉名市は、金栗四三先生ゆかりの地であります。県営スポーツ施設を整備するのであれば、陸上競技場がふさわしいと考えます。 こうした機会を捉え、県におきましては、県北に県営スポーツ施設がないという点も踏まえて、新玉名駅周辺に新しい県営スポーツ施設を整備していただきますように強く強く要望をいたします。 これで、準備した質問と要望は以上のようになります。 今回は、想定以上の答弁をいただいた質問もありましたが、期待した答弁とは違えど、県の考えや信念を感じる質問もありました。こうした議会の場を通じて、県政の課題をしっかりと論議することで、熊本が前に進むことを願っております。 これをもちまして終わりとします。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(小早川宗弘君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時10分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(山口裕君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 河津修司君。  〔河津修司君登壇〕(拍手) ◆(河津修司君) こんにちは。自民党・阿蘇郡選出の河津修司でございます。 ロシアの武力によるウクライナ侵略については、日本をはじめ、世界中の大多数の国が反対を唱え、ロシアを非難しております。先日、本議会でもロシア軍の早期撤退へを決議しました。しかし、戦況は一向に収まる気配がなく、日に日に犠牲者が増えております。私たちは、テレビのニュースを見て、むなしさを覚えるだけで、どうすることもできず、ただ自分の無力さを痛感するのみであります。我々もしっかりウクライナを支援してまいりたいものです。 さて、あと1か月余りで平成28年熊本地震から6年を迎えます。おかげさまで、震災後5年をたたずに、大津から阿蘇市へ抜ける北回りルートトンネルが開通し、国道57号も4車線化がされて、そして新阿蘇大橋も完成して、多くの車が行き来しております。 つい1週間ほど前、新阿蘇大橋の横に架かります長陽大橋も工事が完了し、スムーズに通れるようになりました。これもひとえに、国並びに熊本県の御尽力によるものと、阿蘇郡を代表し、お礼を申し上げます。 早くコロナ禍が収束しますと、阿蘇地域にとっても、これからが、住民の暮らしをはじめ、観光や地域振興の復興本番になるものと期待しておるところです。 まず、1点目の質問をさせていただきます。 阿蘇地域の熊本地震からの農地、農業用施設の復旧について質問します。 熊本地震で大きな被害を受けた阿蘇地域ですが、農地や農業用施設の復旧工事は、当時、市町村における技術職員が絶対的に不足していたことから、事業規模が大きく、高度な技術力を要するものについては、県営事業での復旧や県での受託事業に取り組むなど、技術的、人的に支援していただいたおかげで、大部分の復旧が完了し、営農が再開しております。支援いただいた方々に感謝申し上げます。 南阿蘇村の乙ヶ瀬地区は、被災当初、急傾斜の農地に上流からの流木が散乱し、どこが農地なのか山林なのか分からない状態でした。被災直後から、県がリーダーシップを発揮し、地域農業の将来について話合いが重ねられ、被災した農地だけではなく、周辺の農地を合わせて一体的に圃場整備が行われたことから、乙ヶ瀬の農地は元の姿以上によみがえりました。 令和2年に田植が再開され、担い手の集積率も8割近くまで向上しており、農家の方々からは、これで安心して子供に農業を引き継がせることができる、新たな作物を導入したいといった喜びの声が聞こえ、地元の期待は膨らむ一方であります。また、イノシシ、鹿等の獣害対策にも積極的に取り組まれており、乙ヶ瀬地区の取組は、まさに知事が常々おっしゃられる、単に元に戻すのではなく、元よりさらによくする考えである創造的復興が実現された先進的な事例ではないかと考えます。 このように、すばらしい農地がよみがえった一方で、一部の地域では、まだまだ復旧が終わっておらず、元どおりの営農ができていないところがあります。 南阿蘇村の立野地区は、斜面の大崩落が発生し、地域農業の大動脈である立野用水路が大規模に被災しました。令和2年にようやく用水の復旧が完了し、農家が待ち望んだ農業用水が復活しました。しかしながら、5年ぶりに念願の田植が再開したところもある一方で、いまだに地元を離れている方々もおられ、耕作されていない農地も見受けられます。 そもそも、この地域は、急斜面に不整形な農地が広がり、農業するには条件が厳しいところであります。地元では、同じ南阿蘇村の乙ヶ瀬地区が震災からよみがえった姿を目の当たりにし、我々も先祖代々引き継いできた農地を子孫に引き継ぎ、立野の農業を再生しなければならないという思いが芽生え、震災後、25回を超える話合いを重ね、基盤整備に取り組むことが決まったと聞いております。 南阿蘇村の立野地区におきましては、乙ヶ瀬地区のように基盤整備を行うことにより、地域の創造的復興が実現されるものと、地域の期待は高まっています。 そこで質問ですが、県は、立野地区の基盤整備についてどのように進められていかれるのでしょうか。 さらに、もう1点質問します。 断層活動により堤体やダム施設が大規模に被災した西原村の大切畑ダムでは、現在、多くの工事用重機が稼働しており、復旧工事が本格化しております。ダムの受益地では、ダムに流れ込む限られた水を有効に活用した営農が行われておりますが、十分な量を確保できていないため、農家の方々は、自らの田んぼに十分な水を引くことを心待ちにしています。 私は、令和元年6月議会で復旧状況を質問し、農林水産部長から、ダム本体工事は令和5年度に完了し、令和6年度には供用開始の見込みとの回答をいただきました。ダム本体工事は、着手から4年目を迎えますが、現在の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後の見通しについて、農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、立野地区の基盤整備についてお答えいたします。 議員御紹介のとおり、地元の熱い思いを受け、県といたしましても、被災直後から、農地の創造的復興を目指して、避難先を含めた集落単位での話合いや全体説明会を重ねてまいりました。 その結果、昨年10月に受益者全員の同意が得られたことから、来年度からの事業着手に向けて、土地改良法の手続を進めております。 計画では、未整備農地26ヘクタールについて、基盤整備による生産性の向上、担い手農家への農地8割の集積、新規担い手としての農業法人の参入、さらにはタカナやイチゴなどの高収益作物の導入など、新たな芽吹きにより地域農業の再生を目指すこととしております。 県といたしましては、乙ヶ瀬地区に続く熊本地震からの創造的復興として、基盤整備を実施してよかったと思っていただけるよう、関係農家や村と連携し、営農支援も行いながら、令和10年度の事業完了に向けて取り組んでまいります。 次に、大切畑ダムの復旧工事の進捗状況についてお答えいたします。 令和元年6月定例会で答弁いたしましたとおり、令和5年度の完了、令和6年度の供用開始を目標に、工事を進めてまいりました。しかしながら、仮排水トンネル工事での予期せぬ湧水への対応や築堤に用いる掘削土の選別に手間がかかるなど、不測の事態が重なったため、工事の進捗が遅れております。 現在、ダムの湖底部分の掘削工事など、復旧工事を本格化させておりますが、工事の完了は、1年9か月延びて、令和7年度となる見込みです。 農業用水の復活を心待ちにしておられる農家の皆様のことを考えると大変心苦しい思いですが、県といたしましては、早期の工事完了を目指すとともに、復旧工事の進捗状況につきましても、広く農家の皆様に情報を発信してまいります。 また、ダムが完成するまでの間、ダムに流れ込む限られた水を有効に活用し、農家の意向に沿えるよう、引き続き、水稲、畑作物の作付や水の利用時期を調整するなど、これまで以上に町、村、土地改良区、水利組合の方々と連携し、営農についてもしっかりと支援してまいります。 今後とも、阿蘇地域の一日も早い復旧、復興に向けて、全力で取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 農林水産部長から答弁いただきました。 立野地区の基盤整備については、来年度事業着手の見込みであるということで安心したところです。地域の皆様の基盤整備に対する期待は非常に大きいものがありますので、計画どおり農地集積や新規作物の導入が進み、地域の農業の再生につながるよう、引き続き、県の支援をお願いします。 大切畑ダムの復旧工事の進捗状況については、予期できない現場状況の変化などにより、工事の完了が令和7年度まで延長されるとのことでした。農家にとっては残念なことですが、しかしながら、工事期間中は限られた水を有効に利用できるよう調整するなど、営農支援についてもしっかり取り組んでいくという答弁もいただき、安心したところです。 農業用水の復活を心待ちにしている農家の皆様の期待に応えるためにも、ダムが完成するまでの間、これまで以上に工事の進捗管理をしっかりと行っていただくとともに、農家の皆様に寄り添いながら、早期の工事完了を目指していただきたいと思います。 次の質問に移らせていただきます。 阿蘇地域の世界文化遺産登録について質問します。 御存じのとおり、阿蘇は、世界最大級と言えるカルデラ地形を有し、活発な活動を繰り返す火山と2万ヘクタール余りの草原を持つ外輪山の大地で形成されています。 阿蘇山は、噴火のたびに火山灰を降らすことで、九州中央部の地形や農業に大きな影響を及ぼし、火の山として古来より畏敬の念を持って信仰の対象となっています。この歴史の中で、阿蘇神社の農耕祭事等に代表される農業にちなむ独自の文化を形成してきました。また、阿蘇外輪地域の草原は、私たちの祖先が古来より低灌木を切り開いて、馬の放牧地を形成したものです。 このように、阿蘇地域は、カルデラ地形という独特の地形の中でのなりわいで育んできた美しい景観と貴重な文化が受け継がれた地域であります。 その景観が損なわれるのではないかと懸念される事柄が幾つかあります。以前から言われていることですが、それは、阿蘇の草原を利用し維持している農業者が、高齢化し減少していることです。2016年の阿蘇の草原面積は2万1,797ヘクタールで、30年前から約7,500ヘクタール減っております。減少分の多くは、牧野組合の高齢化などで野焼きができず、森林化が進んでいると見られ、今後それが拡大しないか心配しています。ほかにも、阿蘇地域では、採石や発電設備など、様々な開発やインフラ整備が行われ、中には著しく景観を損ねるのではないかと心配されるところもあります。 平成19年に文化庁へ「阿蘇-火山との共生とその文化的景観」と題した提案書を提出し、平成20年に阿蘇が暫定一覧表候補としてカテゴリーⅠaに位置づけられて、今年で14年になります。その間、阿蘇世界文化遺産登録推進協議会を設立し、暫定一覧表への記載に向けて、様々な取組を行ってきています。埋もれた文化財の指定や選定を進め、平成26年には、阿蘇地域7市町村で景観条例を制定して、景観整備を進めております。 暫定一覧表への記載については、今までも文化庁へ働きかけを行っており、本年も1月に、熊本県や阿蘇郡市7市町村でつくる阿蘇世界文化遺産登録推進協議会で世界文化遺産登録に向けた提案書を文化庁に提出し、蒲島知事は、末松文部科学大臣及び都倉文化庁長官と面会し、国内の推薦候補の前提となる暫定一覧表に記載するよう要望したとのことですが、そのときの手応えはいかがだったでしょうか。 昨年7月には、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産として登録され、本年2月1日には、新潟県の佐渡の金山が世界遺産の登録に向けて、日本政府から推薦されました。早く登録されることを祈っています。 今年度には、国内の推薦候補の暫定一覧表の見直しがあるのではと期待していましたが、いまだに見直しがされておらず、残念でなりません。ただ、暫定一覧表に記載された残りは4か所と、少なくなってきております。 阿蘇が世界文化遺産に登録されれば、地震で傷つき、痛めつけられた阿蘇地域にとって、また、令和2年7月豪雨や新型コロナウイルスの流行で観光客が激減した熊本県にとっても、立ち直る大きな励みになるでしょう。 ぜひ、早期の暫定一覧表入り、さらには国推薦を早々に勝ち取って、一日も早く世界文化遺産となるよう、知事には、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 以上述べましたように、来年度は世界文化遺産登録を目指す上で、まさに勝負の年と言えます。知事には、ぜひ暫定一覧表入りを目指してリーダーシップを発揮していただき、世界文化遺産登録を実現していただきたいと思いますが、知事の意気込みと今後の取組についてお伺いします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 阿蘇の世界文化遺産登録に向けて、本年1月、阿蘇郡市の7市町村長とともに、世界遺産暫定一覧表追加に係る提案書を文化庁に提出いたしました。 末松文部科学大臣からは、文化財保護法による重要文化的景観の選定など、法的な保護をさらに進めるようアドバイスがありました。また、都倉文化庁長官からは、阿蘇は他に類を見ない資産であり、最有力候補の一つであるとの高い評価をいただきました。 私は、阿蘇は、世界文化遺産としての価値が十分認められており、その価値をさらに発信していくとともに、法的な保護措置を着実に進めることで、暫定一覧表入りが近づくと確信しています。 今後は、まず、文部科学大臣からアドバイスのあった資産の保護について、重要文化的景観の選定の加速化に取り組みます。 また、景観に配慮した公共事業や再生可能エネルギー施設の適正配置の推進など、良好な景観を守るための取組も進めます。 さらに、阿蘇の価値を発信するため、東京及び阿蘇でシンポジウムを開催するとともに、若手研究家による研究成果を学術検討に活用するなど、周知啓発や阿蘇が持つ価値のさらなる磨き上げに取り組みます。 民間においても、あさって、九州の企業等で組織する阿蘇世界文化遺産登録推進九州会議主催のシンポジウムが開催されます。阿蘇の世界遺産登録は、私の長年の悲願であるとともに、熊本のみならず、九州全体の希望でもあります。 来年度は、いよいよ暫定一覧表の見直しが行われると見込んでいます。国、市町村、民間団体等と連携して全力で取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 知事から答弁をいただきましたが、文科大臣及び文化庁長官からの助言については、助言に従い、取組を進めてほしいと願っております。 また、シンポジウム等も開いていくという答弁でありましたが、積極的にシンポジウムを開いて文化的価値を理解していただくよう、県民に広く、また、世界中の方々にそういった阿蘇の文化的価値を理解していただくような取組も進めてほしいと願っております。 ぜひとも暫定一覧表入りを果たしていただき、そして国から推薦をいただき、早期の世界文化遺産登録がかないますよう、官民一丸となって進んでいきましょう。私たちもしっかり応援をしていきたいと思っております。 ただ、阿蘇の農業遺産登録の際には、審査に来られたイタリアの方が、あまり草原に関心を示さなかったような記憶があります。その後、イタリアまで当時の副知事においでいただいて理解を訴えたというようなこともあっておりますが、外国の方々にも関心を持っていただくために、外国人の招聘等も積極的に進めてほしいなと思っております。 知事は、外国の友人、知人がたくさんおられると聞いておりますので、そういった面でも力を発揮していただけたらと思っております。ぜひともよろしくお願いします。 続きまして、森林経営管理制度について質問いたします。 我が国の国土面積3,780万ヘクタールのうち、2,505万ヘクタールが森林面積です。約67%ですが、このうち約69%は民有林となっており、熊本県は、森林面積46万ヘクタール、民有林86%となっております。その多くが小規模や零細の所有になっています。 御存じのように、森林は、木材やシイタケ等の林産品を生産するという経済的な目的と、二酸化炭素をコントロールし、地球温暖化、自然環境の悪化を阻止するために、多くの役割を果たしています。また、豪雨時には、雨を大地に取り込み、土砂崩れを防止し、安全な国土の形成や水源涵養の生活環境の保全、さらには森林浴に代表される安らぎや憩いの場を提供し、住民の豊かな生活へ寄与するなど、国民の生活と深く関わっています。 国内の森林の多くは、木材として利用可能な状態となっており、切って、使って、植えるといった森林資源の循環利用を確立させながら、健全な森林の整備、保全を推進していくことが重要となっています。 しかしながら、木材の価格低迷が続く中、小規模な森林所有者の中には、世代交代等により経営意欲は低迷し、森林の管理が適切に行われず、伐採した後に造林が行われていない森林が増え、災害防止など、森林の多面的機能が低下したところも見受けられます。 このようなことから、国は、適切な経営管理が行われていない森林について、経営が成り立つ森林は、民間事業者に経営管理を集積、集約化させるとともに、それができない森林については、市町村の管理により間伐等を行うことで、林業の成長産業化を図るとともに、森林の多面的機能を持続的に発揮させていくことを目的とした森林経営管理制度を平成31年4月1日からスタートさせました。 この法律の施行により、放置された森林が経済ベースで活用され、地域の活性化につながり、森林の多面的機能が向上し、土砂災害等の発生リスクが軽減される等の地域の活性化と住民の安心、安全につながる等の効果が期待されます。 取りも直さず、私たちの世代が将来を見据え、森林を大切に保全することは、日本の将来にとって大きく貢献することであり、森林経営管理法を的確に運用することは時宜を得たものと考えております。 具体的には、森林がある市町村においては、森林所有者の意向調査や間伐等の森林整備を担う人材の育成や担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の取組を進めることができます。 また、森林がない都市部の市町村においては、木材利用を通じて森林整備に貢献することや、山間部の市町村と共同で植林や森林の整備を実施するなど、都市と山村の新たな連携の取組をすることで、木材の利用拡大や森林に対する理解が進むことを期待しています。 この制度の実施に当たっての財源となる森林環境譲与税は、2019年度から譲与が開始され、市町村や都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口による客観的な基準で按分して譲与されているところです。 2024年度からは、個人住民税に1人当たり年間1,000円を上乗せして市町村が徴収する森林環境税の収入が原資となる予定になっております。 先日、新聞で、2019年度、20年度の全国の市町村に配分された森林環境譲与税の54%に当たる271億円が、適切な使途が見いだせていないとして使われず、基金に積み立てられていたことが報道されました。 そこで質問です。 制度が始まって3年がたとうとしていますが、初めの頃、市町村の担当者からは、これまで森林や林業に携わったことがなく、何から手をつけてよいか分からないとの声も聞こえましたが、市町村の事業の進捗具合と県の役割と協力体制はどうなっているのでしょうか。 また、林業従事者が減少している中、間伐や育林など、森林整備を行う事業体や市町村の人手をどう確保していくのか。 さらに、森林譲与税の活用促進について、県は市町村に対してどのように支援していくのか。 以上3点について、農林水産部長にお聞きします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、1点目の市町村の森林経営管理制度の進捗状況につきましては、県内の9割の市町村が、森林所有者に対し、経営管理についての意向調査を進めております。現時点で対象となる森林面積11万ヘクタールの約3割に当たる3万ヘクタールの調査を完了しております。この意向調査を踏まえ、森林所有者から森林の経営管理を委ねられた市町村も出始めており、県内では、2市1村が森林整備にも着手しております。 また、県の役割と協力体制につきましては、森林経営管理法に基づき、市町村に対し、必要な助言、指導や情報の提供を行っております。 具体的には、昨年4月から森林経営管理制度サポートセンターを県森林組合連合会内に設置し、センター職員と県の林業普及指導員が連携し、全市町村を巡回して、森林所有者への意向調査が効率的に進められるよう、また、経営管理を委ねられた森林整備の発注業務等について、助言など支援を行っております。 次に、2点目の林業事業体や市町村の人材確保につきましては、くまもと林業大学校において、新規就業希望者や転職者等を対象とし、実習や座学による林業技術の習得に加え、現場作業に必要な資格の取得により、即戦力となる人材の育成を進めております。また、市町村において、林業行政を担う人材の確保につきましては、市町村に対し、国の特別交付税や森林環境譲与税を活用した専門職員の採用を提案し、現時点で22市町村に28名が採用されております。 今後、これらの取組のほか、ドローン等の新たな技術の導入により、作業の効率化や労働負荷の軽減を図ることで、林業をより魅力あるものとし、幅広く人材確保を推進してまいります。 最後に、3点目の森林環境譲与税の活用促進についての県の支援についてお答えいたします。 令和元年度にスタートした譲与税のこの3年間での市町村への譲与額は、合計23億円で、執行率は52%となる見込みです。残り48%の11億円は、基金として積み立てられる見込みです。 県では、譲与税の有効な活用と執行率の向上を図るため、地域の林業普及指導員が、個々の市町村の実情や課題を把握した上で、具体的に間伐等の森林整備や木材利用等の施策を提案してまいりました。その結果、令和4年度の剰余額の9割について、市町村で予算化される見込みです。 今後とも、市町村に寄り添いながら、森林環境譲与税の有効活用と執行率向上に向け、しっかりと支援してまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 9割の市町村が森林所有者に対し経営管理の意向調査を進めて、県内では2市1村が既に森林整備にも着手していると聞いて、昨年より大分進みつつあるなと感じています。市町村の職員としっかり意見交換をしながら、なるべく早く作業を進めてほしいと願っております。 林業事業体や市町村の人材確保については、くまもと林業大学校において、林業技術の習得に加え、現場作業に必要な資格の取得により、即戦力となる人材の育成を進めていると先ほど答えがありましたが、ただ、若い従事者が同じ事業体に定着しないという話も聞きます。戦力となるまで時間もかかります。ぜひ長く地元にとどまってもらうよう、県としても支援をお願いしたいと思います。 私の地元の阿蘇森林組合に登録している林業作業員は、2017年には133名おられましたが、2021年末、昨年末には114名に減っております。 日本の森林は、1966年の2,517万ヘクタールからほぼ横ばいということで、そのうち約4割が杉、ヒノキなどの人工林で、適正伐期が50年を超えた――適正伐期というのが、これが本当に適正かは別として、大径木、長伐期の経営を目指している林家も多いところですが、ただ、大径材が今大変安くなっており、また、切って出すまでに経費もかかるということで、なかなか伐採が進まないということも言われております。そういう点でも、ぜひ働く人材の確保を十分県としても進めてほしいと思っております。 それから、県の支援としては、京都府なんかは、航空写真等のデジタルデータを活用して、森林資源の情報の精度を向上させているというふうな話も聞いております。この辺のところも、先ほどドローンを使ってという話もありましたが、ぜひともそういったDX化も進めていただきながら、市町村を支援してほしいと願っております。 これから、先ほども言いましたが、2024年度からは、市町村が個人住民税1人当たり1,000円を上乗せして徴収するという森林環境税の徴収が始まります。こうなりますと、住民からは、しっかりこの税の使い方について関心を持って見られることになるかと思いますので、その辺の使い道にしっかり取り組んでいただいて、着実に目標を実現しながら取り組んでいただきたいというふうに思っております。 続きまして、空港アクセス鉄道と阿蘇方面への波及効果についてお伺いいたします。 さきの本議会で、岩本議員の質問に早速応えて、南阿蘇鉄道の復旧及び肥後大津駅への乗り入れに対する財政支援を決定していただいたことにつきましては、地元県議として大変ありがたく思っております。ありがとうございました。 また、今後も、持続的な経営を実現するための上下分離に向けた法人設立や国土交通大臣による事業認可に向けた手続などに対しましても、引き続き県からの支援をお願いいたします。 一方、南阿蘇鉄道が乗り入れる肥後大津駅を含む空港周辺地域では、豊肥本線と阿蘇くまもと空港を結ぶ空港アクセス鉄道の検討が進められています。 知事は、昨年11月の定例会において、TSMCの進出を踏まえ、ルートの追加検討を行うことを表明されました。 TSMCについては、本県における過去最大規模の企業進出であるとともに、我が国の経済安全保障にとって重要であることを踏まえると、空港周辺地域の公共交通の基盤である豊肥本線を強化し、これに接続する空港アクセス鉄道についても、より整備効果を高める必要があります。このため、今回のTSMCの進出等の環境の変化を考慮した追加調査を行うことは、極めて重要であると考えます。 TSMCや関連企業の進出により、ビジネスはもちろん、人的交流の増加による観光需要の活発化が見込まれています。 加えて、新型コロナウイルスの収束に伴う海外からのインバウンドの増加などにより、県内全域への波及効果が期待されます。 私の地元である阿蘇地域においても、世界的な知名度に加え、空港周辺地域からのアクセスのしやすさを生かすことで、観光をはじめとした様々な分野に波及効果がもたらされることに大きな期待を寄せております。 ただ、南阿蘇鉄道の肥後大津駅への乗り入れは、令和5年夏の予定です。この乗り入れ開始時期に空港アクセス鉄道の開業を少しでも近づけることで、空港周辺地域の活性化を早期に阿蘇方面に波及させることが可能となります。地元阿蘇地域でも大いに期待しています。空港アクセス鉄道については、ぜひスピード感を持って検討を進めていただきたいと考えます。 そこで、全線再開の姿が見えてきた南阿蘇鉄道の復旧に対するお考えと空港アクセス鉄道の現在の検討の状況及び今後の進め方について、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、南阿蘇鉄道の復旧については、県は、これまで、地元町村と連携し、持続的な運行に向けた支援や復旧工事への財政支援を行ってきました。 さらに、全線再開と同時に計画されているJR豊肥本線への乗り入れについても、沿線住民の生活利便性や観光周遊性の向上につながることから、地元町村と連携した支援により、強力に後押ししています。 現在、最大の工事である白川第一橋梁の設置工事も始まっており、復旧工事は順調に進んでいます。令和5年夏頃、約7年の歳月を経て、南阿蘇鉄道が熊本地震からの創造的復興のシンボルとして全線再開を果たすことができるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。 次に、空港アクセス鉄道については、昨年11月定例会において、TSMCの進出決定を踏まえ、ルートの追加検討を行う旨を表明しました。 既に、独立行政法人鉄道・運輸機構と協定を締結し、調査に着手しています。あわせて、JR九州とも技術的な協議を進めています。 特に、阿蘇地域については、空港アクセス鉄道がいずれのルートになったとしても、空港と鉄道でつながることになり、交通利便性が大幅に向上すると考えています。 先月8日に開催した空港アクセス検討委員会においては、各委員から、TSMC進出という外部環境の大きな変化を考慮すると、ルートの追加検討は必要という御意見をいただくとともに、早急に調査結果をまとめてほしいとの御指摘もありました。 引き続き、スピード感を持って追加調査を進めた上で、年内に調査結果をお示しし、早期開業の実現に向けた検討を深めてまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 知事からは、年内に調査結果を示すという言葉をいただきました。 空港アクセス鉄道は、採算面だけで判断するのではなく、道路と同様に、公共財としての視点も必要ではないかと思います。熊本都市圏の渋滞緩和やカーボンフリー社会を目指す上で、空港を鉄道で結び、自家用車から鉄道へ転換させることも重要と考えます。 また、海外からの観光客にとって、空港から阿蘇等の観光地や熊本市中心部が鉄道により直接結ばれることの安心感は大きいと思います。コロナ禍で、今はお客さんが少ないですが、コロナは必ず収束しますし、収束後は、これまで来日が比較的少なかったアメリカやヨーロッパ地域を含め、インバウンドは伸びてきます。空港間競争や観光地間競争を勝ち抜くためにも、アクセス鉄道は大きな役割を果たします。 熊本国際空港株式会社の622万人という目標についても、重要なのは、我々が何もしないで、汗をかかないで人口減少を受け入れ、暗い将来を迎えるのではなく、高い目標を掲げ、そこに向かって積極的に政策を打っていく姿勢であると考えます。 空港アクセス鉄道は、世界や我が国が人口減少の中にあっても、熊本が選ばれ、発展していくための起爆剤となるべき装置であります。 ぜひ、知事には、将来の子供たちに、あのとき鉄道を造ってもらってよかったと言われるように、一生懸命邁進していただきたいと思います。よろしくお願いします。 続きまして、スポーツ施設について質問いたします。 特に、武道館についてですが、元熊本市議会議員で、昨年亡くなられました紫垣正良先生の言葉を引用させていただきますと、戦前の武道館は、現在の白川公園付近にすばらしい風格のある武徳殿があったそうです。戦災で一夜にして焼失しましたが、その後、私も稽古しましたが、上通近くの狭くて天井の低い振武館が武道の鍛錬の場でありました。 そして、昭和42年、時の熊本市長で剣道連盟会長でもありました石坂繁先生が、市立武道館建設を提唱し、何回も国に陳情し、全国のライバル候補地の中から、熊本に国からの補助金で建設することが決まりました。建設場所は、白川公園、二本木の運動公園、熊本城近辺と、いろいろ検討されたようですが、どこも帯に短したすきに長しだったようで、少々狭いですが、水前寺運動公園の一部に、昭和46年8月、現在の武道館が完成しました。それ以来、熊本県と熊本市が共同して運営しています。 さて、熊本県武道協議会には、現在、剣道、柔道、弓道、相撲、杖道、空手道、日本拳法、少林寺拳法、なぎなた、居合道、銃剣道、合気道の12の団体が加盟していますが、剣道と相撲は、施設がないために武道館を利用できていません。 御存じのとおり、熊本県は、剣道や柔道、相撲などの武道が強く、数々の全国大会で優勝しています。過去には、山下泰裕JOC会長などの数多くのオリンピック選手も輩出しております。現在も県下の各高校が上位に入賞しており、熊本県は武道王国と言われています。 しかしながら、熊本県の武道のメッカとも言うべき熊本武道館が、あまりにも狭く、老朽化して、時代にそぐわない状況にあります。既に、平成7年6月に、熊本県総合武道館建設に関する請願が提出され、平成8年2月定例県議会において採択されております。その後、平成9年6月に、熊本県総合武道館建設促進期成会から、知事、教育長宛てに、6万8,507名の署名を添え、熊本県総合武道館の建設促進に関する陳情が出されております。 それから26年の歳月がたちますが、いまだに新しい武道館は建設されておりません。もちろん、この間、本県においては、他の優先すべき事項があったり、度々の大災害や財政難などで建設できなかったものと思われます。 ですが、既に建築後50年以上を経過し、耐震補強工事は終えておりますが、それでも経年劣化は避けられません。空調関係もいまだに未整備に近い状況であり、近年の新型コロナウイルス禍にあっては、施設内の空調が重要でありながら、旧態依然とした状況で使用されています。また、駐車場も手狭で、各種大会の開催時には、近隣の駐車場を探し、開催しなければならないなどの課題があります。 九州各県では武道場の整備が進み、佐賀県は、佐賀駅の近隣にSAGAサンライズパークを建設し、武道場や弓道場とともに総合体育館を建設し、多くの佐賀県民に親しまれています。さらに、新しいアリーナを建設中であります。大分県は、大分市の広い敷地に、3年前、木材をふんだんに使った県立武道スポーツセンターを、総床面積1万6,125平方メートル、79億6,000万円を投じて建設しております。 先ほど城戸議員からも要望がありましたが、近年、本議会でも、スポーツ施設の建設促進に係る一般質問で、髙木議員、増永議員、城下議員、そのほか多くの議員が、野球場や体育館、アリーナなどのスポーツ施設を早く建設するようにと要望しています。 また、先頃、新聞で、プロバスケットボールBリーグ2部の熊本ヴォルターズの運営会社である熊本バスケットボールが本拠地となる新アリーナを建設し、2026年にも開業する方針を固めたことが報道されました。 このような中、県として、武道館やアリーナなどを含めて、スポーツ施設の整備の在り方についてどのように検討を進めていくのか、企画振興部長より御答弁をお願いします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 熊本武道館は、議員御指摘のとおり、建築後50年以上経過し、施設の老朽化などの課題はあるものの、適切な維持管理を行っていくことで、今後約20年は使用できるということが確認されています。 一方、武道館のみならず、野球場やアリーナなどのスポーツ施設についても、整備が必要という声がありますし、国においては、アリーナやスタジアムについて、スポーツ等を見る施設として、地域活性化の起爆剤となる基盤施設と位置づけ、活用を推奨しています。 県としては、このような状況を踏まえ、武道館や野球場、アリーナなどのスポーツ施設の整備の在り方について検討を行うため、スポーツ施設の経済波及効果、収支分析などの調査やフォーラム開催のための予算を今定例会に提案しています。 今後、事業手法や事業主体、民間資金の確保など、あらゆる可能性について整理するとともに、県民的議論を深めて、スポーツ施設の整備の在り方について検討を深めてまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) がっかりしました。もう本当にゼロ回答に等しいものですが、適切な維持管理により今後20年使用できると言いますが、それは、もともとしっかりした建設がしてあるのと、その後の管理がよく、大切に使ってきたからであると思っております。 ただ、20年使えるといっても、今の時代に合っているんでしょうか。もう時代に合っていないのは否めないのではないでしょうか。コロナウイルス感染症がこんなに拡大することなど、設計に入っていなかったでしょうし、感染症対策は取られておりません。20年使用できるといっても、20年はすぐたちます。今のうちからしっかり検討して、前向きに進めてほしいと思います。何せ、先ほど言いましたとおり、27年前の陳情、請願に対して、まだ建っていないわけですから、27年と比べたら20年なんてすぐなんですよ。ぜひ、来年度予算には、県の検討する予算が上げてあるそうですから、しっかり検討して、前向きに進めていただきたい。 なお、どうなるか分かりませんが、建設するとしたなら、武道館建設については、27年前の請願でありますから、改めて各武道団体から意見を聴くなどして進めて検討していただきたいと思っております。 それから、武道館だけではなくて、アリーナにしても、先ほどは佐賀県と大分県の話をしましたが、長崎県ももう進めております。ぜひとも、前向きに進めていただくことを要望しておきます。 次に、令和2年7月豪雨災害復旧における不調、不落対策について質問いたします。 一昨年7月に発生した豪雨災害は、県南地域を中心に甚大な被害をもたらしました。私の地元阿蘇地域でも、多大な災害が発生しました。特に、小国郷においては、多数の住家被害、北里川や小田川の護岸の崩壊など公共土木施設の被害、杖立川の氾濫による温泉街の被害、土砂崩れなどによる農地の被害など、住民生活から仕事や観光までに影響し、被害の規模は非常に大きいものでした。 県全体の災害復旧事業は、公共土木施設、農業用施設など、県と市町村を含めて1,000億円を超える規模となっております。 熊本地震からの復興途上にコロナウイルス感染症の発生の中で、これまで経験のない困難な状況の中でも復旧が進められておりますが、大変今不調、不落が続いております。 これから、今土木部のほうも、不調、不落対策として、今までの入札方法等を変えて対策を打っておりますが、今後の対策について、最近の不調、不落の状況を踏まえ、復興JV制度及び災害型の総合評価制度の導入効果をどのように捉えているか、さらに、今後どのように不調、不落対策に取り組んでいかれるのか、土木部長にお尋ねします。  〔土木部長村上義幸君登壇〕 ◎土木部長(村上義幸君) まず、指名競争入札対象工事の拡大についてお答えします。 現在、令和2年発生の災害関連工事のうち、土木一式工事について、指名競争入札の対象金額を3,000万円から7,000万円までに拡大して運用しています。 期限を3月末としておりますが、今後も工事発注は続くことから、特に被災地域において、受発注者の負担軽減につながり、迅速な手続が進められる指名競争入札対象拡大の継続を求める声がありました。 このため、現在の取扱いを9月末まで半年間延長し、早期発注に向けた取組を進めてまいります。 次に、復興JV制度及び災害型の総合評価制度の導入効果についてお答えします。 昨年11月の導入から1月までに発注した48件の復興JV対象工事に対しまして、管外のA1等級企業11社とA2等級企業を含む復興JV17者の入札参加がありました。これは、県全体として被災地の復興を支援したいという気持ちの表れだと思っております。 しかしながら、県南地域を中心に、A1等級を対象とする災害関連工事におきまして、不調、不落が多く発生しており、さらなる対応が必要と考えております。 このため、A1等級対象工事の一部にA2等級企業がより多く参入できますよう、復興JV制度の一部見直しを検討しております。 今後とも、被災された皆様の一日も早い生活再建の後押しとなりますよう、復旧、復興に全力で取り組んでまいります。 ○副議長(山口裕君) 河津修司君。――残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 土木部長から答弁をいただきましたが、被災地以外の地域からの参入やA2等級の企業の参入があるとお聞きし、感謝しております。 まだまだ不調、不落が続いているということでありますから、被災地にお住まいの方々は、一日も早い復旧、復興を願っておりますので、災害による不安を払拭するためにも、復旧、復興が少しでも早く進むようしっかりと取り組んでいただきたいとお願いし、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山口裕君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明8日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第7号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時9分散会...